【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25673.46  ▼133.17 (3/6)
NASDAQ: 7505.92  ▼70.44 (3/6)

1.概況

米国市場は経済協力開発機構(OECD)が世界経済の成長見通しを下方修正したことで景気減速に対する警戒感が意識され3日続落となりました。ダウ平均は小幅に上昇してスタートしましたが、まもなくして下落に転じると下げ幅を広げ昼過ぎには170ドル安余りまで売られました。その後90ドル安程度まで持ち直す場面もありましたが、上値は重く軟調に推移すると結局133ドル安の25,673ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も70ポイント安の7,505ポイントとなっています。

2.経済指標等

2月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は18万3000人増となり市場予想を下回りました。また、2018年12月の米貿易収支の前月比18.8%増の597億6900万ドルの赤字となり赤字額は市場予想を上回りました。この結果2018年の貿易赤字は前年比10.4%増の8787億200万ドルと過去最高となっています。さらに米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備制度理事会(FRB)は経済活動が10地区でわずかもしくは穏やかなペースで拡大し2地区が横ばいだったとする一方で、政府機関閉鎖により一部の業種で活動が減速したとしています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、ヘルスケアとエネルギーが1%を超える下落となったほか、資本財・サービスも1%近く下げています。一方で素材と公益事業が上げています。

4.個別銘柄動向

ゼネラル・エレクトリック(GE)が株価は底入れしていないとのアナリストの指摘を受けて8%近く下げました。半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)も業績や株価に慎重な見方を示すアナリストが相次いだことで5%を超える下落となりました。バーボンのジャックダニエルを製造するブラウン・フォーマン(BF.B)も決算で売上高が市場予想を下回ったことで5%余り下げています。さらに保険などのコンサルティング大手のウイリス・タワーズワトソン(WLTW)も同業のエーオン(AON)が買収の提案を撤回すると発表したことで6%以上下げました。一方でエーオンは買収による財務負担への懸念が後退し4%を上回る上昇となっています。

また、1ドルショップのダラー・ツリー(DLTR)も決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったことで5%余り上昇しました。アパレル大手アバクロンビー・アンド・フィッチ(ANF)も2019年の売上高見通しが市場予想を上回ったことで急伸し20%高となっています。ドローン製造のエアロバイロンメント(AVAV)も決算で1株利益も市場予想を上回ったことなどで9%以上上げました。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い2.69%となりました。ドル円は111円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の21,500円を前に底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)