先週金曜日の日経平均は200円超の上昇となり、ようやくエンジンが温まってきたようだ。これだけ外部環境が好転すれば、さすがに出遅れの日本株にもお鉢が回ってくるというものだろう。米国のダウ平均は昨秋からの下げをほぼ取り戻し、ナスダック総合に至っては1999年終盤以来となる10週連続高を記録。上海総合は先週1週間で7%も上昇、3000ポイントの大台回復目前である。動きの乏しかったドル円も200日移動平均を抜けたら一気にドル高円安が加速した。週末のNY外国為替市場では一時112円台をつける場面もあった。こうしたことを背景に週明けの東京市場も続伸で始まる公算が高い。
今週の注目点は2つ。ひとつは5日に北京で開幕する全国人民代表大会(全人代)。すでに多く報道されている通り、減税、公共投資の積み増し、金融緩和など景気対策が打ち出される。その規模感などが注目だが、いずれにせよ中国景気減速の懸念が和らぎ、内外の株式市場の追い風となるだろう。
もうひとつの注目は7日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会だ。2月下旬に公表された1月の議事要旨では、新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)に関する分析を進めるようスタッフに求めていたことが明らかとなった。前後してクーレ専務理事とプラート専務理事も新たなTLTROに言及している。今週の理事会では最終決定には至らないと思われるが議論はされるだろう。理事会後のドラギ総裁の会見が注目される。
ECBは2兆6000億ユーロの債券購入プログラムを昨年末に終了したばかりだが、早くも新たな量的緩和の話が出て来ている。米国は利上げを停止しバランスシート縮小も年内に終了させる方向だし、中国でも金融緩和が鮮明になっている。そして欧州でもまた…ということになれば、日銀にも追加緩和圧力がかかるのは時間の問題だろう。幸い、為替が円安で推移している今の内から対策を検討するべきだろう。
ストラテジーレポートでも指摘したが海外投資家の売り越しが減少している。今週発表される売買動向では、おそらく買い越しに転じていると思われる。週末のメジャーSQを越えれば一段と需給は軽くなる。2万1700円の半値戻しは目前で、その次の節目は2万2000円の大台だ。そこはちょうど200日移動平均の水準にも相当する。そこを超えれば売り方の買い戻しが加速するだろう。ここが正念場である。米中貿易協議や米中首脳会談に関するポジティブなニュースフローの後押しがあれば、2万2000円の大台に近づくこともできるだろう。
予想レンジは2万1500円~2万2000円。