大幅安の大発会で始まった今年の株式相場も、先週は落ち着きを取り戻し、日経平均は2万円を固める動きとなった。FRBが柔軟な金融政策を行う用意があると市場にメッセージを送ったことや米中通商協議が順調であることなどから投資家の不安心理が和らいでいる。先週11日の上海外国為替市場で、人民元の対ドル相場は大幅に3日続伸した。一時は6.7400元と昨年7月下旬以来、5カ月半ぶりの元高水準を付ける場面もあった。中国経済に対する懸念が後退していることの表われだろう。

11日の東京市場でも象徴的な値動きがあった。中国の設備投資抑制などを背景に、今期2度目の業績下方修正を行った安川電機は、買い気配で始まり、4%高まで上昇する場面があった。中国の設備投資抑制というのは昨年を通じてずっとやってきた、いわば「手垢のついたテーマ」であり、織り込み済みだ。むしろ会社からは「中国や半導体向けのサーボモーターの需要は18年9月から底入れ傾向にある」とのコメントも聞かれた。日本ロボット工業会の賀詞交歓会で安川電機の小笠原浩社長は「中国は横ばいで落ちていない。欧州は伸びている」と述べた。ずっと売り込まれてきた中国関連の景気敏感株の底入れを探る局面に来ている。

その意味で注目は15日発表の12月工作機械受注。10月に前年割れとなり11月は前年比17%近く落ち込んだ。なにしろ昨年が記録的な水準だったから落差が大きい。受注額のピークは昨年3月だから、そこまでは厳しいが、そこを過ぎれば前年比マイナスは縮小するだろう。すなわち底が見えるということだ。それがある程度予見できる以上、12月の統計を市場が冷静に受け止められるか注視したい。

日経平均もNYダウ平均も、ざっくり言って、10月の高値から5000円・5000ドル強下げた。NYダウ平均は2200ドル(44%)戻したのに対して日経平均は1200円(24%)しか戻しておらず出遅れが鮮明だ。FEDのハト派スタンスは米国株の戻りに追い風となったが、そのせいで円高に振れた分だけ日本株の戻りが鈍い。

日本が成人の日で休日だった14日、再びドル円が円高に振れた。日本が正月休みだった3日に円相場が急騰したこともあって、市場参加者が少なくなる日本の休日のアジア時間帯に円急騰劇の再現が警戒されていたが、今回はイスラエルによるイランの武器庫への空爆で地政学リスクが懸念され円買いが優勢になった。さらに連休明け15日に英議会でEU離脱案の採決が予定されており、市場では否決されるとの見方が優勢だ。リスクオフ・ムードが強まってしばらく円高圧力が残り続けるのは相場の重石である。

今週は米国で決算発表がスタートする。業績の下振れ懸念をメディアは喧伝するが、昨年秋以降の株価急落局面はそれを織り込む過程だったとも言える。仮に下振れても予想の範囲内なら材料出尽くしとなるだろう。NYダウ平均はあと300ドル余り上げれば半値戻し達成だ。調整一巡感がさらに強まり、市場は安定に向かうだろう。

今週の予想レンジは2万円ちょうどから2万1000円とする。