【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 24947.67  ▼79.40 (12/6)
NASDAQ: 7188.26  △29.83 (12/6)

1.概況

米国市場は小幅に高安まちまちとなりました。ダウ平均とS&P500株価指数は米国が経済制裁を科すイランに製品を違法に輸出した疑いでカナダ当局が米側の要請に応じて中国のスマホメーカーのファーウェイの副会長を逮捕したことで米中の対立が深まるとの懸念から続落となりましたが、ナスダック総合株価指数はアマゾン・ドット・コム(AMZN)やグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)など大手ハイテク株の一角がしっかりで反発しました。ダウ平均は289ドル安でスタートすると昼前に784ドル安まで売られましたが、その後徐々に下げ幅を縮めるなか取引終了間際に利上げ休止観測が出ると引けにかけて急速に持ち直す展開となりました。結局ダウ平均は79ドル安の24,947ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も4ポイント安の2,695ポイントとなっています。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は29ポイント高の7,188ポイントとなりました。

2.経済指標等

11月の米ISM非製造業景況感指数は60.7と前月から上昇し市場予想も上回りました。一方で11月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は前月比17万9000人増に止まり市場予想を下回りました。先週一週間の米新規失業保険申請件数も前週比4000件減の23万1000件となり市場予想ほど改善しませんでした。10月の米製造業受注も前月比2.1%減となり市場予想を下回っています。また、10月の米貿易収支の赤字額は前月比1.7%増の554億8800万ドルとなり市場予想を上回る赤字額となりました。7-9月期の米労働生産性指数改定値は年率換算で前期比2.3%上昇し市場予想と一致しています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、エネルギーと金融、素材が1%を超える下落となりました。一方で4業種が上げ、不動産が2%以上上昇したほか、通信サービスも1%高となっています。

4.個別銘柄動向

ボーイング(BA)が3%余り下落しダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。米中の対立が深まるとの懸念や、インドネシアのライオン航空が発注済みの200機前後の旅客機のキャンセルを検討していると伝わったことなどが嫌気されました。また、ダウ平均構成銘柄では長期金利の低下を受けてJPモルガン・チェース(JPM)も2%近く下げたうえ、原油価格の下落を嫌気してエクソンモービル(XOM)とシェブロン(CVX)も1%以上下げています。一方でシスコシステムズ(CSCO)が2%を超える上昇となったほか、IBM(IBM)も2%近く上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、長期金利の低下を受けて住宅建設株が買われました。レナー(LEN)が3%以上上昇し、KBホーム(KBH)も3%近く上げています。決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)やスーパーのクローガー(KR)も買われ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズが6%を超える上昇となり、クローガーも3%以上上昇しました。コストコ・ホールセール(COST)も9-11月の既存店売上高が市場予想を上回ったことで3%高となっています。保険のAIG(AIG)は目標株価の引き下げを受けて3%以上下げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.02%低い2.89%となりました。ドル円は112円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は昨日の米国市場でダウ平均が小幅な下落に止まり懸念したほど下げなかったことから上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の買い一巡後にさらに上値を伸ばすような展開となるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)