◆11月第1週末の北米映画興行収入ランキングで、英国のロックバンド、クイーンのボーカリストだったフレディ・マーキュリーの生涯を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」が初登場1位となった。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」と言えば、僕の洋楽の原点である。いや、正確に言えば、僕の洋楽の原点はあと2曲ある。ベイ・シティ・ローラーズの「サタデー・ナイト」とKC&ザ・サンシャイン・バンドの「ザッツ・ザ・ウェイ」だ。小学5年生のころ、当時流行っていたラジカセを買ってもらった僕はずっとラジオを聴いていた。文化放送に「電リク‘75」という番組があって、エンディングで「今日のベスト3(その日もっとも電話リクエストが多かった3曲)」がかかる。もちろんチャートは毎回入れ替わるのだが、この3曲の組み合わせがずっと印象に残っている。
◆クイーンとベイ・シティ・ローラーズとKC&ザ・サンシャイン・バンド。正統派のブリティッシュ・ロックにアイドル・ポップス・グループにディスコ・ソウル・サウンド。見事なまでにバラバラである。バラバラと言えば、この土曜日に福岡でおこなった投資セミナーのパネルディスカッションで登壇者の見通しが珍しくバラバラになった。相場のレンジもかなり上下に差があったり、有望な業種や注目の国など意見が分かれた。ちなみに注目する国として日本、ドイツ、中国が挙がったが、この3カ国はいずれも純債権国であり、対外純資産の大きさでベスト3である。
◆相場の見通しというものは、意見が分かれていたほうがいい。みんなの見方がひとつに偏るときがいちばん危なく、相場はたいていその逆に動く。楽観でも悲観でもそうである。さて、もうひとつトップ3を挙げよう。ドイツ、米国、英国。なんの順位かおわかりだろうか。外国人移住者の多さ上位3カ国である。これら上位3カ国に共通するのは移民問題で政治が揺らいでいることだ。米国でトランプ大統領が誕生したのも、英国がEU離脱を選択したのも、そしてドイツでもメルケル首相が党首を引退することになったのも、すべて移民問題が根底にある。
◆経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の最新(2015年)の外国人移住者統計によれば日本はこれらに次いで4位だ。日本はすでに移民大国である。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を目指しているが、移民問題で揺れている欧米を見ると日本でもいずれ政権を揺るがす問題になりはしないか。杞憂であることを願う。「ボヘミアン・ラプソディ」を聴きながら、ふとそんなことを思った。そう言えば、ボヘミアンとは流浪の民だ。フレディ・マーキュリーはインドからの移民の子。ボヘミアン=ジプシー、発祥は北インド。「ボヘミアン・ラプソディ」はフレディ自身の歌であったのだ。