周知のとおり、先週は10月10日にNYダウ平均が800ドル超の下げ(前日終値比)を演じたことにより、翌10月11日の日経平均株価が一時1,000円超の下げを演じるなどといった波乱の展開があちこちで見られた。米10年債利回りが10月9日の時間外に一時3.259%まで上昇し、その悪影響が懸念されたというような講釈が後付けでなされているようだが、本当のところは少々事情が異なるらしい。

聞いたところによると、10月10日は世界屈指の独立系クオンツファンドが俗に"GAFA"と称される銘柄群などに少々まとまった利益確定売りを出したとのこと。その結果、NYダウ平均が400ドル程度下げたことでVIX(恐怖)指数が急上昇し、そのことを受けて他のクオンツファンドおよび「リスク・パリティ型」と称されるファンドなどが景気敏感を中心として次々に利益確定するといった"負の連鎖"が生じた模様である。11月決算のファンドから「45日ルール」に絡んだ売りが出やすくなっているとの指摘もあり、こうした物理的な売りについてはほどなく引っ込むと見る向きも少なくない。

そもそも、足下の米金利上昇は所謂「良い金利上昇」であることに間違いはなく、一段の景気拡大に伴って相応に金利が上昇して行くことは、むしろ自然なことと言える。無用な講釈と言われるかもしれないが、イタリアなど南欧諸国の国債が信用不安で売られた結果、思わしくない(悪い)金利上昇が生じるのとはワケが違うのである。

思えば、1年ほど前には「順調に景気が拡大しているにも拘らず、足下の金利や物価がなかなか上昇してこないのは『謎』だ」などと言われていたのである。もちろん、そこには「成長が加速してくれば金利が強含んでくるのも当然」という前提がある。

まして、この10月からFRBによる資産再投資停止の規模が500億ドルに拡大している。米国債については300億ドル分が再投資されなくなったわけで、そのぶん価格には下げ圧力がかかりやすくなる。また、足下で中国は人民元の価値を維持すべく、外貨準備を取り崩すといった行動に出ている(米国債も売却対象となる)。加えて、足下ではドルの調達コストがあまりにも高くなってしまっており、日本の機関投資家が米国債に投資しにくい状態ともなっている。

確かに、過去においても本格的な金利上昇が始まった当初に株価や不動産価格などが一旦弱含みとなる局面があったことも事実ではある。株式市場で言えば「金融相場から業績相場への移行期」とでも言えばいいだろうか、そうした時間帯のなかでは市場に様々な認識ギャップが生じるのも致し方ないことではある。

少なくとも前回の米利上げ局面(2004年6月から2006年6月までにFRBが17回の利上げを実施した時期)においては、利上げを開始した当初こそ米株価の上値が重かったものの、途中からは一段の利上げを実施するほど株価も上昇するといった展開になり、過度な引き締めの悪影響を警戒して利上げが打ち止めとなってからは、さらに一段と株価が上昇した。

とまれ、目下は外国為替相場が株式相場睨みの展開となっており、何をおいても当面の株価動向からは目が離せない。先週末10月12日のNYダウ平均は前日終値比+287ドルの反発となったが、やはり本日(10月15日)の動きも確認しないことには、先週来の混乱が収束しつつあるかどうか判断しにくい。

為替条項に関わるムニューシン発言の影響については、腹立たしくも暫し静観するしかない。むしろ、今週は中国の経済指標が数多く発表される予定となっており、其々の結果に対する市場の反応が見逃せない。なお、本日発表の米9月小売売上高や明日(10月16日)の米求人・労働異動調査(=米雇用動態/JOLTS)などの結果に米金利が反応するかどうかという点にも注目しておきたい。