【米国株式市場】ニューヨーク市場


NYダウ: 26486.78  △39.73 (10/8)
NASDAQ: 7735.95  ▼52.50 (10/8)

1.概況

先週末の米国市場は米雇用統計を受けて米長期金利が上昇したことを嫌気して続落となりました。ダウ平均は小幅に上昇して始まりましたが、まもなくして下落に転じると下げ幅を広げ昼過ぎには325ドル安まで売られました。その後ダウ平均は持ち直したものの結局180ドル安の26,447ドルで取引を終えています。また、S&P500株価指数も16ポイント安の2,885ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も91ポイント安の7,788ポイントとなり1%を超える下落となっています。

昨日の米国市場は金利上昇を警戒したハイテク株への売りが続くなか高安まちまちとなりました。47ドル安でスタートしたダウ平均は切り返すとまもなくしてプラスに転じましたが、上値が伸び悩むと下げ幅を広げ昼前には223ドル安まで売られました。しかし、午後に入って下げ幅を大きく縮める展開となり取引終盤にプラスに転じました。結局ダウ平均は39ドル高の26,486ドルと3日ぶりに反発して取引を終えています。一方でS&P500株価指数が1ポイント安の2,884ポイントと3日続落となったほか、ナスダック総合株価指数も52ポイント安の7,735ポイントとこちらも3日続落となりました。

2.経済指標等

先週末に発表された9月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比13万4000人増に止まり市場予想を下回りました。また、平均時給は前年同月比2.8%増と市場予想と一致しましたが、失業率は0.2ポイント低下の3.7%となり48年9ヶ月ぶりの低水準となっています。さらに8月の米貿易収支の赤字額は前月比6.4%増に止まり市場予想ほど赤字額は膨らみませんでした。8月の米消費者信用残高は前月比200億7762万ドル増となり市場予想を上回っています。

3.業種別動向

先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が下げ、情報技術と通信サービスが1%以上下落しました。一方で公益事業が1%を超える上昇となりました。

昨日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち6業種が上げ、生活必需品と不動産が1%を超える上昇となりました。一方で5業種が下げ、情報技術が1%以上下落しています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が下げました。そのなかでもインテル(INTC)とキャタピラー(CAT)が2%以上下げたほか、アップル(AAPL)なども1%を超える下落となりました。一方でファイザー(PFE)やマクドナルド(MCD)など6銘柄が小幅に上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、システムへのユーザーアクセスに関連した内部統制の重大な欠陥について開示する予定だと公表したコストコ・ホールセール(COST)が5%以上下げています。また、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイートした米証券取引委員会(SEC)を皮肉るコメントがモラルに欠けると受け止められ電気自動車のテスラ(TSLA)が7%余り下げています。

昨日の米国市場では投資判断の引き上げを受けてゼネラル・エレクトリック(GE)が3%以上上昇しました。航空機・自動車向けアルミ部品大手のアーコニック(ARNC)も投資ファンドによる買収観測が出たことで7%を上回る上昇となりました。一方で傘下のグーグルで大規模な個人情報の流出が明らかとなったアルファベット(GOOGL)が1%余り下げました。また、カジノ大手のウィン・リゾーツ(WYNN)は目標株価の引き下げを嫌気して3%以上下げています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は米雇用統計で失業率が48年9ヶ月ぶりの低水準となったことで0.05%高い3.23%となりました。昨日の債券市場はコロンバスデーの祝日で休場でした。ドル円は円高に振れ113円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

ダウ平均が先週末に180ドル安と大きく下げていることや、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数が続落となったこと、さらにドル円が円高に振れていることなどから本日の日本市場は下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が朝方の売り一巡後に下げ渋る展開となるかがポイントとなりそうです。また、昨日に上海総合指数が3%を超える大幅下落となったことから中国市場の動向も注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)