ついに日経平均が2万3000円の節目超え
前回のレポートでは日経平均が4度目の2万3000円の節目トライに失敗したものの、日本企業の好調な業績や割安なバリュエーションを理由に秋冬以降は株高を予想していると記しました。その後いったんは2万2000円台前半まで株価が下落しましたが、急速に切り返して9月14日に5度目のトライにしてついに2万3000円を突破しました(チャート参照)。
貿易戦争や新興国の通貨安に加えて、度重なる震災の影響による外国人観光客の減少などが今後のリスク要因と言え、それらに伴って株価は一喜一憂となるでしょう。再び2万3000円の節目を割り込むことも十分に考えられます。ただ、ひとまず心理的な節目を突破したことは大きな意味を持つと考えます。そして前回のレポートでご紹介したように、ここ数年の日本株は秋冬に株価が上昇しやすい傾向にあります(チャート参照)。引き続き年末に向けて日経平均の2万5000円方向への上昇を期待しています。
株主優待のメリットとは?
さて、ご存じの通り日本企業は3月末決算を採用している企業が最も多く、9月末はその中間期に当たるため、多くの企業で配当や株主優待の権利確定月となっています。9月末が株主優待の権利確定日になっている銘柄は実に413社に及びます。これでは優待銘柄を選ぶにしても、迷ってしまう方が多いのではないでしょうか。そこで今回の銘柄フォーカスでは、9月末が株主優待の権利確定日になっている銘柄の中から、業績が好調で特に注目したい銘柄をご紹介します。なお、9月末の権利確定銘柄の権利付き最終日は9月25日です。
具体的な銘柄の紹介の前に、少し株主優待についての筆者の考え方をご説明させてください。筆者は株主優待を、個人投資家の投資リターンを決める重要なファクターとしてとても重要視しています。その大きな理由の1つは、「優待銘柄には優待目当ての買いが入りやすく株価の下支え要因となりやすい」と考えているからです。
日本マクドナルドホールディングス(2702)の例を考えるとわかりやすいと思います。日本マクドナルドが数年前に顧客離れを起こしてしまい業績が大幅に悪化したことを覚えている方は多いのではないでしょうか。その際に日本マクドナルドの業績は以下の通り悲惨なまでに悪化しました。
もちろん株価が下落しなかったのは優待のみが要因ではないでしょうが大きな理由の1つになった可能性は高いと思います。(もちろん優待銘柄だから株価は全く下落しない、と言っているのでは決してありません。)その他にも定期的に株主優待が送られてくることによって「投資は楽しいもの」というマインドセットにつながりやすく、長く持っておく動機づけがされることによって結果的に長期投資を実践しやすい点も株主優待のメリットと言えるでしょう。
注目したい好業績の9月の優待銘柄は
それでは前置きが長くなりましたが、9月末が株主優待の権利確定日となっている銘柄のなかから好業績で特に注目したい銘柄をご紹介します(表参照)。具体的なスクリーニング条件は以下のとおりです。
・東証に上場しており過去の9四半期の業績データを取得可能
・過去の5四半期の業績がいずれも前年同期比増収・営業増益で期間中に営業赤字に陥っていない
少し多いですが、ゲオホールディングス(2681)、JALUX(2729)、あらた(2733)、ハウス食品グループ本社(2810)、アリアケジャパン(2815)、イートアンド(2882)、マツモトキヨシホールディングス(3088)、ヨシックス(3221)、スシローグローバルホールディングス(3563)、セーレン(3569)、システム情報(3677)、デンカ(4061)、インフォコム(4348)、ラウンドワン(4680)、ユー・エス・エス(4732)、ハーバー研究所(4925)、インソース(6200)、ヤマシンフィルタ(6240)、ホソカワミクロン(6277)、東亜ディーケーケー(6848)、トプコン(7732)、ヤオコー(8279)、マネックスグループ(8698)、アドバンスクリエイト(8798)、近鉄エクスプレス(9375)、共立メンテナンス(9616)、ユニマット リタイアメント・コミュニティ(9707)、ステップ(9795)、元気寿司(9828)の29銘柄が抽出されました。
最後に筆者が特に注目する5銘柄についてマネックス銘柄スカウターから抜粋した企業概要や業績動向、そして肝心の株主優待の内容をご紹介します。
JALUX(2729)
■企業概要と業績
航空・空港関連の商社、双日・日本航空グループ。航空・空港周辺事業を基盤に、食品類の輸出入や免税品・通信販売、国内空港店舗の運営、農水産物・加工食品・機内食等の企画・販売を営む。航空・空港関連(中古航空機・部品・機械資材、機内備品等の調達・販売)、リテール(空港売店「BLUE SKY」の運営、空港ターミナル・空港内施設運営)、不動産関連(不動産販売・分譲・仲介・賃貸、施設管理)、食品関連(農水産物・ワインの輸入・通信販売等)の各事業を展開。JALグループ企業に対して物品の販売と業務受託を請負う。航空機パーツアウト事業への参入、地方空港への「BLUE SKY」新拠点の拡充を推進。1962年日本航空の商事・流通機能を担う企業として誕生。2011年日本空港ビルデング<9706>、双日<2768>と空港リテール事業で資本業務提携。2016年前田道路<1883>と資本業務提携。主要取引先はIHI、JALグループ企業。
ハウス食品グループ本社(2810)
■企業概要と業績
大手食品メーカー、香辛食品類で国内トップ。香辛・調味加工食品(カレー・シチュー・スープ・レトルト食品・スパイス)、健康食品(ドリンク等)の製造・販売、レストラン経営。主力商品は「バーモントカレー」「ジャワカレー」「クリームシチュー」「ギャバン」「ウコンの力」「フルーチェ」。その他、国内・海外におけるレストラン経営(子会社壱番屋)を営む。海外事業の基盤強化(米国豆腐事業、中国カレー事業、アセアン)を推進。傘下にギャバン(スパイス)、壱番屋<7630>(カレー専門店)を持つ。2010年「六甲のおいしい水」をアサヒ飲料に譲渡(ミネラルウォーター事業から撤退)。2013年持株会社に移行。2015年公開買付により壱番屋を子会社化。2016年ギャバンを完全子会社化。主要取引先は加藤産業、三菱食品。
スシローグローバルホールディングス(3563)
■企業概要と業績
回転すし「スシロー」の全国チェーン。国内は「スシロー」ブランドにて直営方式による回転すし店(1皿100円中心)、海外では韓国で直営方式による回転すし店を展開。店舗数(全都道府県493、海外7、2018年3月)。セントラルキッチンを経由しない店内調理を実施、店内調理ノウハウを蓄積。機械化・IT化(自動皿洗浄機、自動案内、セルフレジ、自動音声応答のテイクアウト注文)に注力。前身のあきんどスシローはエーエスホールディングス(非上場)による完全子会社化に伴い2009年上場廃止、2017年再上場。2017年3社(神明、スシローグローバルホールディングス、元気寿司)間で資本業務提携(経営統合へ、神明が筆頭株主となる)。
ラウンドワン(4680)
■企業概要と業績
屋内型複合レジャー施設の運営。ボウリング・ビリヤード・卓球・ゲームセンター・カラオケルーム・スポッチャなどのサービスを提供するスポーツ・アミューズメント複合店を運営、国内108店舗(2018年3月)。ボウリング店舗数は国内トップ(郊外店は無料シャトルバスを運行)。米国での大型ショッピングモールへの出店拡大を推進、年間10店舗出店予定(21店舗、2018年4月)。2010年米国に海外第1号店をオープン。
ステップ(9795)
■企業概要と業績
藤沢市本社の学習塾。神奈川県の湘南・横浜地区(横浜・藤沢・平塚・茅ヶ崎)から県内全域ネットワークで、小中学生「高校受験STEP」と現役高校生「大学受験STEP」の学習塾を運営。スクール数は小中学生部門127、現役高校生部門14、個別指導部門1、学童部門1の計139校(神奈川県下トップクラスの学習塾、2018年3月)。正社員率95%以上の教師のプロ化による学習指導に特色。2016年STEPキッズ(学童保育)・ステップ保育園を開設。
銘柄概要および業績データの出所はいずれもマネックス銘柄スカウター
株主優待の出所はマネックス証券ウェブサイト
※株主優待の詳細は必ず企業のウェブサイト等でご確認ください。