『極上の孤独』(下重暁子著)がベストセラーになっています。死別、離別、そして元々を含めて、私の周囲にもシングルが多くいます(この本では、夫婦であったり、パートナーがいても、独りの時間を楽しむことをすすめているわけで、シングルかどうかにポイントは置いていませ)。
自分の時間を楽しむ「おひとり様」はとても有意義だと思いますが、FPとして気になるシングルは図らずして独りになった場合の経済的な面についてです。
自立できる程度に自分に稼ぎのある場合は経済的には大きな問題にはなりません。本書の中で筆者も繰り返されていますが、自分自身を「養える」だけ稼ぐ、これができていると安心で、収入面でのキャッシュフローがあることは精神的にも支えになります。結婚や出産で専業主婦になるのが当たり前であった世代の女性にとっては、なかなかハードルが高いかもしれません。
もちろん遺産だったり、財産分与によって資産を得たり、もともと十分な資産を持っている、つまりストックがある場合も当面心配はないでしょう。
専業主婦だった、親の年金を頼りにしていた、資産らしい資産はない、仕事の経験はほとんどない…こんなケースはなかなか厄介なものです。
人生100年時代ですから、今あまりお金がなければ、できるだけ長く働くことが必要となります。資格、職歴がない、年齢が高いとなると、どうしても低賃金のアルバイトなどに就かざるをえないことが多くなるでしょう。「おひとり様」を楽しむどころか、日々の生活に追い立てられることも。もちろん、資格を取ったり、勉強したりする時間的、経済的余裕があれば話は別ですし、本人の努力や才能によって大いに異なってきますが。
そこで、性別問わず、誰でも、今すぐにでも始めておくべきことは「おひとり様力」を鍛えていくこと。すなわち、精神面、経済面、生活面において、独りになった時に問題なく、生きて行けるような下地作りをしておくことです。
特に経済面については、前述の通り、ストックとキャッシュフロー(収入)の下地をもつと精神的な安定にもつながります。キャッシュフローの支出部分は生きている限り発生しますので、収入部分がなければストックの切り崩しのみになりますし、当然ストックもない状態であれば日々キャッシュフローの収支バランスを取りながらの生活になってしまいます。
ストックを持つには「勝手に稼いでくれる仕組み」作りがポイントです。
収入は支出に出ていくか、現金のみで手元に、という状態では、どうやっても「勝手に稼いで」はくれません。わずかずつでも投資にお金を回し、金利収入(インカムゲイン)や、市場での売買益(キャピタルゲイン)を手に入れる仕組みが必要です。
とはいえ投資を勉強する余裕がない、経済を知らない、相場が怖い、という方もいらっしゃるでしょう。その場合、少額で投資できる投資信託、非課税投資できるNISAなどを活用することでハードルはぐっと下がります。
投資はまずは始める、そしてできるだけ早くすることで時間を味方につけること。まずは仕組み作りから始めましょう。