5月19日、中国原子力エネルギー協会の徐玉明副秘書長の6回目の中国原子力エネルギー大会におけるコメントによると、中国は原子力エネルギーのユニット容量を2020年に4,000万キロワット(KW)に達する計画を立てましたが、それを2015年に繰り上げて実現できる可能性が高まっています。そして国家エネルギー局が国務院に提出した原子力エネルギーの中長期計画では2020年のユニット容量に関する計画が上方修正されています。修正された最低目標は2020年にユニット容量4,000万KWを到達すること。しかし、2番目の目標として7,000万KW、最大1億KWまで拡大することを含んでいます。
現在、中国の原子力発電の送電価格は0.45元で、火力発電の価格にも近づいており、環境にやさしいエネルギーのなかでも、発電価格で競争優位性があります。2009年末時点で、中国の原子力発電ユニット容量は908万KW、中国発電ユニット容量全体の1.04%を占めています。そして原子力発電量は700億元キロワット時で、中国の発電量全体の1.95%を占めています。徐副秘書長の予測によると、2020年には、中国原子力エネルギーのユニット容量は8000万KWに達する可能性があり、全国発電量の8%を占め、非化石エネルギー発電の30%を占めることになります。中国は2020年に、非化石エネルギーの比率を15%にする計画があります。それを実現するために、原子力エネルギーの成長を加速させる必要があり、中国原子力エネルギー産業は今後10年間、高成長を続けていくと予測されています。
このように考えていくと、東方電気(1072)や上海電気(2727)、哈爾濱動力(1133)などの原子力発電設備企業の持続的成長が期待できます。東方電気を例としてみると、原子力発電設備部門の2009年の粗利益は赤字でしたが、部品の国産化率の高まりと規模拡大効果によって、粗利益率は2010年には9%、2011年には15%に達すると予測されています。そして原子力発電設備の売上は2009年の21.3億元から、2010年には40億元、2011年には90億元に達し、業績の成長ドライバーになると予測されています。ちなみに発電機メーカーの原子炉建設では東方電気が約60%の市場シェアを占め、上海電気は20%以上、哈爾濱動力のシェアは10%以下となっています。他方、その他の原子力発電の関連銘柄としては華能国際発電(0902)や大唐発電(0991)などの大手電力銘柄もあります。また、原子力発電と同じような考え方では風力発電業界もあります。たとえば、風力発電用ギア装置では中国最大手メーカーで市場シェア8割を占める中国高速伝動(0658)といった銘柄があります。