1.概況
本日の日本市場は小幅続落となりました。日経平均はトルコ情勢の悪化を懸念しての米国株安や円高を受けて223円安の21,980円と節目の22,000円を割り込んで寄り付くと取引開始後約10分程度で332円安まで売られました。しかし、10時半ごろに中国商務次官が貿易交渉のために訪米すると伝わると米中貿易摩擦が緩和するのではとの期待から一気に下げ幅を縮め11時10分過ぎにプラスに転じ36円高まで買われました。下落に転じて始まり96円安まで売られた後場は下げ幅を三桁に広げることなく下げ渋ると持ち直し取引終盤にプラスに転じ16円高まで買われましたが、昨日終値近辺では上値が重く結局12円安の22,192円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均がともに続落となっています。
2.個別銘柄等
7月の訪日外国人旅行者数の伸びが鈍化したことからインバウンド関連銘柄が売られました。資生堂(4911)が5.3%安となったうえ、ファンケル(4921)が9.8%安、コーセー(4922)が8.1%安、松屋(8237)が8.8%安となっています。また、既存店売上高の減少を嫌気して売られたのがイオンファンタジー(4343)で15%近く下げストップ安となりました。一方で7月の月次売上高が前年同月比6.4%増と好調だったパーク24(4666)が2.7%高となっています。さらに総務省が通信大手3社に販売したスマホを他社の通信網でも使えるようにするSIMロック解除を中古品にも義務付けると報じられたことで中古モバイル機器の販売や買い取りなどを手がける日本テレホン(9425)が22%近く上昇しストップ高となったほか、日本通信(9424)も12.0%高と急伸しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日経平均は一時300円以上下落していましたが、米中貿易摩擦緩和への期待から下げ幅を大きく縮めました。その結果一時割り込んだ節目の22,000円や一目均衡表の雲の下限(22,067円)を回復して取引を終えています。そのため昨日に抜くことができなかった200日移動平均線(22,395円)に再びトライする場面もありそうで、調整局面で200日移動平均線を割り込みながら早期に回復しその後戻り歩調となった3月と7月と同様の展開が期待されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)