1.概況
本日の日経平均は409円高の2万2597円と大幅に続伸しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数や新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。米国のムニューシン財務長官が今後中国との交渉を再開する可能性を示唆したことから貿易戦争への懸念が後退したことが好感されて、日経平均は209円高の2万2397円と続伸して寄り付きました。日経平均は上げ幅を広げてまもなく2万2500円の節目を回復するとその後も高値圏での推移が続きました。前場を295円高で終えた日経平均は、お昼休みの時間帯に発表された中国の輸出統計(米ドルベース)が市場予想以上に好調だったことも刺激となって後場寄りからさらに上げ幅を広げました。一時は上げ幅が500円を上回る場面もあった日経平均は、結局409円高と大幅に続伸して取引を終えました。東証1部の売買代金は2兆5472億円となりました。東証33業種は2%を超える上昇となったサービス業や繊維製品のほか、精密機器、ガラス土石製品、化学、電気機器など31業種が上昇しました。一方で石油石炭製品や電気・ガス業の2業種が下げています。

2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄はほとんどが上昇しました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が4%近く上昇したほか、売買代金2位のファーストリテイリング(9983)は7%近い大幅高となっています。ファーストリテイリングは昨日発表した3-5月期の営業利益が前年同期比36.9%増と好調だったことが好感されました。ソフトバンクグループは約38円、ファーストリテイリングは約127円日経平均を引き上げた格好となりました。その他にも任天堂(7974)、ソニー(6758)、トヨタ自動車(7203)、東海カーボン(5301)、エーザイ(4523)などがいずれも上昇しました。一方で昨日決算発表を行った安川電機(6506)は好決算を受け朝方は大きく上昇する場面がありましたが徐々に売りに押されて終値では4%近く下げています。その他材料が出たところでは、九州を中心にドラッグストアを展開するコスモス薬品(3349)が18%近い大幅高となりました。3-5月期が非常に好調で通期決算が従来の会社予想を上回って着地したほか、株主優待の拡充を発表したことも好感されました。一方で傘下の東日本銀行に対し金融庁が業務改善命令を出すと伝わったコンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)は9%近い大幅安となりました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
貿易戦争への懸念が後退し日経平均は400円を超える大幅高となりました。ただソフトバンクグループとファーストリテイリングで日経平均を160円以上押し上げています。来週は16日が祝日のため日本市場は営業日が1日少ないこと、小売関連企業の決算発表も一巡したことからやや材料難と言えそうですが、引き続き米中の貿易戦争を巡る思惑が注目されそうです。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)