高騰している不動産価格を抑えるために、中国政府が再び価格抑制策を打出しています。4月15日、中国国務院が2軒目の住宅購入に対するローンの最低金利と頭金の割合を引き上げました。そして、4月17日、中国国務院が「一部都市での不動産価格上昇が速過ぎる状況を抑制する通知」を発表しました。これはここ数年で発表された最も厳しい不動産価格抑制策だと思われています。たとえば、この通知の中では、不動産価格上昇が著しい地域では3軒目以降の住宅を購入しようとする個人への融資を禁じるとしています。一般的に、1軒目、2軒目の住宅購入は実需による場合が多いですが、3軒目以上の不動産取引のほとんどは投機目的です。そのため、今回発表された措置によって、投機が大きく抑制されます。さらに、1軒目や2軒目の住宅を購入する場合は、その都市で過去1年の税金または社会保険の納付証明を提出できない非居住者に対して、住宅ローンの融資を禁じるなどといったことがあります。これは非住居社による投機を防ぐ目的があります。
この政策の影響によって不動産株が急落しています。たとえば、中国2位の不動産会社である中国海外発展(0688)の場合、4月7日には高値18.48HKドルまであったものが、4月23日には14.70HKドルまで急落しています。つまり、12営業日で高値からおよそ2割下落したわけです。ちなみに2010年の年初来安値は13.48HKドルであり、年初来安値に迫る展開です。もちろん、中国海外発展はあくまでも一例で、不動産最大手の万科企業(深センB株上場 200002)や、H株では大手の広州富力地産(2777)なども同じような状況です。しかし、このような中でも忘れたくない点は、中国の場合、実需がまだまだ莫大にあるという点です。中国にはまだまだ自宅を購入していない人たちが大量にいます。今回の不動産措置は投機を抑制させ、動産価格を抑制させる効果があるでしょう。しかし、その後ろに控えている実需はこの政策で消えるものではありません。
中国政府の狙いは不動産市場の縮小ではなく、あくまでも不動産価格のバブル的な高騰を潰すことです。むしろ、リーズナブルな価格のまま、実需の不動産消費が拡大することはウェルカムなのです。このように考えると、中国を代表するような不動産企業の業績がこのまま悪化し続ける可能性は低いように思えるのです。さらに、そのような企業の株価が大きく下落するようなことは、このような非常事態のような時でしかないはずです。むろん、どこで下げ止まるのかは後になってみないとわかりませんが、急落の最中は、買いチャンスの中にあると考えることも可能なのではないでしょうか。中国の大手不動産銘柄は前述の他にも中国国務院系の華潤グループ傘下の華潤置地(1109)、中央政府直属の中国遠洋運輸集団傘下の北京で不動産開発を手がける遠洋地産(3377)、北京を中心に高級不動産開発事業を手がけるSOHO中国(0410)などがあります。----- EXTENDED BODY: