NYダウ: 21858.32  △14.31 (8/11)
NASDAQ: 6256.56  △39.68 (8/11)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
10日の米国市場は米トランプ大統領が北朝鮮を強く牽制したことで北朝鮮情勢を警戒し売りが広がり大幅続落となりました。60ドル安と下落して始まったダウ平均は昼過ぎに下げ幅を170ドル余りまで広げると一旦切り返す場面もみられましたが、引けにかけて一段安となり結局204ドル安の21,844ドルと3日続落となりほぼ安値引けで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も135ポイント安の6,216ポイントと3日続落となっています。 先週末の米国市場はハイテク株の一角に押し目買いが入り反発しました。しかし、北朝鮮リスクが引き続き意識され小幅な上昇に止まっています。一時70ドル高近くまで買われるなど寄り付きから堅調に推移したダウ平均は取引終盤にわずかに下落する場面もありましたが、引けにかけて持ち直すと結局14ドル高の21,858ドルと4日ぶりに反発して取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も39ポイント高の6,256ポイントとこちらも4日ぶりに反発しています。

2.経済指標等
10日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比1.9%上昇となりましたが、市場予想には届きませんでした。先週一週間の米新規失業保険申請件数も前週比3000件増の24万4000件となり改善を見込んでいた市場予想に反して悪化しました。一方で7月の米財政収支の赤字額は前年同月比61.9%減の429億3900万ドルで市場予想を下回っています。 先週末に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1.7%の上昇に止まり市場予想を下回りました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比1.7%上昇となり市場予想と一致しています。

3.業種別動向
10日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち公益事業を除く10業種が下げました。そのなかでも情報技術が2%を超える下落となったほか、金融、一般消費財・サービスなども1%を上回る下げとなっています。 先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーや公益事業、不動産などの6業種が下げました。一方で情報技術や一般消費財・サービス、ヘルスケアなどの5業種が上げています。

4.個別銘柄動向
10日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中27銘柄が下げました。なかでもアップル(AAPL)が3%を超える下落となりダウ平均構成銘柄で下落率トップとなったほか、ゴールドマン・サックス(GS)も2%を上回る下げとなり、アップルとゴールドマン・サックスの2銘柄でダウ平均構成銘柄を70ドル以上押し下げました。また、シスコシステムズ(CSCO)も2%近い下げとなっています。一方でマクドナルド(MCD)とコカコーラ(KO)、IBM(IBM)の3銘柄が上げています。ダウ平均構成銘柄以外では、決算が市場予想ほど悪化しなかったアイルランドの製薬・ヘルスケア用品大手のペリゴ(PRGO)が急伸しています。百貨店大手のメーシーズ(M)は決算で1株利益が市場予想を上回ったものの、経営トップの慎重な発言が伝わり急落しています。 先週末の米国市場ではハイテク株の一角に押し目買いが入るなか、ダウ平均構成銘柄でマイクロソフト(MSFT)、シスコシステムズ(CSCO)、アップル(AAPL)の3銘柄が1%を超える上昇となっています。また、目標株価の引き上げを受けて旅行情報サイトのトリップアドバイザー(TRIP)が大きく上昇しています。一方、決算でデータセンター向け半導体の売上高の伸びが鈍化した半導体のエヌビディア(NVDA)が大幅安となったほか、決算が市場予想を上回る赤字となった百貨店のJCペニー(JCP)が急落しています。利用者数が市場予想ほど伸びなかった写真・動画共有アプリのスナップ(SNAP)も急落し上場来安値を付けています。

5.為替・金利等
10日の長期金利は北朝鮮情勢の緊迫感が高まりを受けて安全資産とされる米国債が買われ0.06%低い2.19%となりました。また、先週末の長期金利は変わらずの2.19%となっています。ドル円は北朝鮮リスクが高まるなか米CPIが市場予想を下回ったこともあり先週末に一時108円台後半まで円高が進む場面もありました。朝方は109円台前半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
米国市場でダウ平均が10日と11日の2日間トータルで190ドルの下げとなっていることや、ドル円も一段と円高となっていることから本日の日本市場は大きく下げてのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の19,500円を割り込みそうで、一目均衡表の雲の下限(19,430円)などがサポートとなるかがポイントとなりそうです。なお、取引開始前の8時50分には4-6月期の日本のGDPが発表されます。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)