1.概況
本日の日本市場は地政学リスクが意識され反落しました。昨日の米国市場でダウ平均が三桁の上昇となったことに加え、ドル円が113円台を付け円安が進んだことから136円高の20,192円で寄り付き141円高まで買われた日経平均は、朝方の買いが一巡するなか北朝鮮がミサイルを発射したと伝わったことで10時過ぎには50円高まで上げ幅を縮めました。その後やや持ち直し前場を85円高で終えた日経平均ですが、後場に入って北朝鮮が午後3時半に特別重大報道をすると伝わると再び上げ幅を縮め13時半過ぎにはマイナスに転じ20,000円の節目を割り込んで84円安まで売られました。引けにかけてやや持ち直し20,000円を回復した日経平均は結局23円安の20,032円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数が3%近い大幅反落となったうえ、日経ジャスダック平均も反落しています。
2.個別銘柄等
米国市場で主力ハイテク株が利益確定の売りから下げた流れを受けて日本市場でも成長株の一角に利益確定の売りが出ました。任天堂(7974)が5.0%安と大きく下げたうえ、東京エレクトロン(8035)も2.2%安となっています。そのほか下げがきつかったのが出光興産(5019)やキユーピー(2809)で、出光興産は公募増資で最大で1385億円を調達すると発表したことで希薄化懸念から11.1%安となり、キユーピーは通期の業績予想を下方修正したことで7.3%安となっています。第1四半期の営業利益が二桁の減益となったヨンドシーホールディングス(8008)も5.0%安と大きく下げています。一方で円安が進んだことに加え、米国での6月の新車販売が好調だったこともあって自動車株が総じて堅調でした。米新車販売台数が前年同月比2.1%増となったトヨタ自動車(7203)が1.8%高、2.0%増だった日産自動車(7201)が1.0%高、0.8%増となったホンダ(7267)が2.0%高、11.7%増と大きく伸びたSUBARU(7270)は2.5%高となっています。3-5月期の営業利益が前年同期に比べ4割強増えたとの観測報道を受けてドラッグストア大手のウエルシアホールディングス(3141)も買われ4.0%高となり年初来高値を更新しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
地政学リスクの高まりを受けて後場にマイナスに転じ20,000円の節目を一時割り込んだ日経平均ですが、引けでは何とか20,000円を上回っています。また、25日移動平均線にもサポートされ底堅さは維持しています。今晩の米国市場は独立記念日により休場で明日も海外の取引参加者が少ないなかでの取引となりますが、こうしたなかで日経平均が20,000円近辺での底堅さを維持できるかが明日もポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)