NYダウ: 21271.97  △89.44 (6/9)
NASDAQ: 6207.92  ▼113.85 (6/9)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
先週末の米国市場は高安まちまちとなりました。ダウ平均は3日続伸となり一週間ぶりに史上最高値を更新したものの、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数は3日ぶりの反落となり、金融大手がIT株急落の可能性を指摘したことをきっかけに主力ハイテク株に売りが出たことでナスダック総合株価指数は2%近い大幅下落となっています。重要イベントを大きな波乱なく通過したことで上昇して始まったダウ平均は一旦120ドル高余りまで買われましたが、その後徐々に上げ幅を縮めると午後にはマイナスに転じ20ドル安余りまで売られました。しかし、底堅さをみせると引けにかけて持ち直し結局89ドル高の21,271ドルと2日に付けた史上最高値を更新して取引を終えています。一方でS&P500株価指数が2ポイント安の2,431ポイントとなったほか、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も113ポイント安の6,207ポイントとなっています。

2.経済指標等
4月の米卸売在庫は前月比0.5%減となり市場予想を下回りました。4月の米卸売売上高も前月比0.4%減となっています。

3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、エネルギーが2%を超える上昇となりました。また、金融も2%近く上げたほか、素材も1%を上回る上昇となっています。一方で情報技術や一般消費財・サービスなどの4業種が下げ、情報技術は3%近い下落となりました。

4.個別銘柄動向
主力ハイテク株に大きく下げるものが目立ちました。なかでも年内発売予定の新型iPhoneの一部機能が競合他社のスマホに比べ劣っているとの報道を受けてアップル(AAPL)が4%近く下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)やインテル(INTC)も2%を超える下落となっています。また、前日に上場来高値を付けた画像処理半導体のエヌビディア(NVDA)やグーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、フェイスブック(FB)なども大きく下げています。写真・動画共有アプリのスナップチャットを運営するスナップ(SNAP)も投資判断の引き下げを受けて大幅安となっています。一方でドッド・フランク法(金融規制改革法)の改廃法案が米下院を通過したことでJPモルガン・チェース(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)が買われました。さらに原油価格の上昇を受けてシェブロン(CVX)やエクソンモービル(XOM)も堅調でした。データセンター関連の不動産投資信託を手掛けるデュポン・ファブロス・テクノロジー(DFT)は同業に身売りすると発表し買収価格にさや寄せする格好で急伸しています。

5.為替・金利等
長期金利は0.01%高い2.20%となりました。ドル円は引き続き110円台前半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国市場でナスダック総合株価指数が大幅安となったことから本日の日本市場は軟調なスタートが予想されます。日本市場でもハイテク株の動向が注目されますが、こうしたなかで日経平均は本日も一目均衡表の転換線(先週末時点で19,904円)がサポートとなるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)