1.概況
本日の日経平均は104円高の2万13円と反発しました。TOPIXも上昇しましたが、JPX日経400は小幅安と主要指数は高安まちまちでした。コミー前FBI長官の議会証言を波乱なく通過し米国市場の主要指数が上昇したことを受け、日経平均は43円高と反発して寄り付きました。日経平均は寄り付き後しばらく小幅な値動きでもみ合いとなりましたが、10時頃から急速に上げ幅を広げるとまもなく186円高と1日の高値をつけました。前場を180円高で終えた日経平均は後場に入ると徐々に上げ幅を縮めました。後場の後半に再びやや上げ幅を広げると日経平均は5日以来4営業日ぶりに終値で2万円を回復しました。なお、本日は3ヶ月に1度のメジャーSQで6月限の日経平均先物・オプションのSQ値は1万9997円63銭となりました。SQ日とあって東証1部の売買代金は3兆2000億円と3兆円を上回っています。東証33業種は銀行業や情報・通信業など21業種が上昇しました。一方で陸運業やサービス業など12業種が下げています。東証規模別指数で、大型株は0.3%高となった一方で中型株は0.3%安、小型株は0.1%安と大型株優位の1日となりました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は総じて上昇しました。中でも売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)は7.4%の大幅高で日経平均を74円あまり押し上げました。投資しているアリババ集団(BABA)の業績が好調で昨日の米国市場で株価が上場来高値を更新したことが好感されました。その他任天堂(7974)、三菱UFJ(8306)、東芝(6502)、トヨタ自動車(7203)、三井住友(8316)などがいずれも上昇しました。材料が出たところでは、富士フイルム(4901)が4%安と冴えませんでした。傘下の富士ゼロックスの会計問題をめぐり、新たにオーストラリアでも会計処理の不備が見つかったと報じられ損失の拡大が懸念されたとみられます。また、野村不動産ホールディングス(3231)が後場に入って急落し2.5%安となりました。野村不動産ホールディングスを買収すると報じられていた日本郵政(6178)の社長が「今後のM&Aについて予断なく考えると言ってきたが、これまでよりもトーンダウンさせる」と発言したと伝わったことが嫌気されました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
ひとまずコミー前FBI長官の議会証言が事前の想定内の内容で終了したことを受け、ややリスクオンに傾いたのか日経平均は上昇して2万円の節目を回復しました。ただ、ソフトバンクグループを除けば日経平均の上げ幅は30円程度であり、JPX日経400が小幅に下げたことからも実質的に本日の日本株は横ばいだったとみたほうが良いかもしれません。来週は13日から14日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)、15日から16日にかけて開催される日銀の金融政策決定会合が注目イベントです。FOMCでは3月に続いて今年2度目の利上げが実施される可能性が高いとみられていますが、プロジェクションと呼ばれる今後の金利や経済成長見通しに変化がみられるかが特に注目されます。
(マネックス証券 プロダクト部 益嶋 裕)