1.概況
本日の日本市場は地政学リスクによる米国株安を受けて続落となりました。特別清算指数(SQ)算出に伴う需給要因から105円高の18,531円と反発して寄り付いた日経平均はまもなくして下落に転じ取引開始後10分余りで82円安まで下落しました。その後も二桁の下げで推移していた日経平均ですが、14時過ぎに北朝鮮の外務省次官の米国が選ぶなら我々は戦争に向かうとの発言が伝わると前場の安値を下回り下げ幅を三桁に広げました。141円安まで売られた日経平均は引けにかけて下げ幅を二桁に縮め結局91円安の18,335円と4日続落となり、昨日に続いて年初来安値を更新して取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数が反落となったほか、日経ジャスダック平均も4日続落となっています。

2.個別銘柄等
日経平均が年初来安値を更新するなか売買代金上位銘柄には下落するものが目立ちました。売買代金で2位となった東芝(6502)は売却を計画している半導体事業に米アップル(AAPL)が少なくとも数千億円に上る大規模な出資を検討していると伝わり後場に昨日終値近辺まで持ち直す場面もみられましたが、買いが続かず5.4%安となりました。ソフトバンクグループ(9984)や三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)なども下げ、三菱UFJフィナンシャルグループとみずほフィナンシャルグループは年初来安値を更新しています。一方で売買代金トップの任天堂(7974)が2.1%高と4日ぶりに反発したほか、下落して始まり一時1%余り下げ年初来安値を更新したトヨタ(7203)も10時前にプラスに転じ1.2%高で取引を終えています。昨日に大幅増益の中間決算を発表したファーストリテイリング(9983)も1.3%高となっています。そのほか材料が出たところでは、山崎製パン(2212)が2%安となりました。中小企業庁が下請け業者に支払うべき代金を不当に減額したとして公正取引委員会に通告したと発表したことが嫌気されました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
SQ値は本日の日経平均の高値より上の18,613円となりました。日経平均より上で決まった幻のSQでは翌週以降の相場が弱いといわれますが、こうしたなかで昨年11月9日の安値(16,111円)と3月2日の高値(19,668円)の38.2%押しに当たる18,309円を小幅に下回ったところで昨日、本日と下げ渋っている日経平均が、週明け以降もここで踏み止まれるかが注目されます。仮に下値模索となりこの水準を明確に割り込むと、次の下値の目処としては節目の18,000円や200日移動平均線の17,858円などが意識されることになりそうです。なお、今晩の米国市場は聖金曜日の祝日で休場となります。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)