1.概況
本日の日本市場は米FOMC議事要旨を受けての米国株安や110円台前半まで進んだ円高に加え、北朝鮮の地政学リスクなども意識され大幅反落となりました。106円安の18,754円で寄り付いた日経平均は200円安、300円安と下げ幅を広げる展開となりました。取引開始30分後に200円安まで下げ幅を広げた日経平均は263円安で前場の取引を終えると、後場に入り13時前に300円安まで下げ幅を広げ13時半前には328円安の18,532円まで売られました。その後も安値圏で推移した日経平均は結局264円安の18,597円と年初来安値を更新して取引を終えています。こうしたなか新興市場も下げがきつく東証マザーズ指数が2.4%安となったほか、日経ジャスダック平均も2.2%安となっています。

2.個別銘柄等
日経平均が年初来安値を更新し、東証1部の安値更新銘柄数も644と今年最大となるなか主力銘柄にも安値を付けるものがみられました。トヨタ(7203)や日産(7201)、ホンダ(7267)といった自動車株に加え、メガバンク3行が昨日に続いて年初来安値を更新したほか、日立(6501)や三菱電機(6503)、TDK(6762)といったハイテク株も安値を付けています。一方で昨日の引け後に第3四半期(2016年5月-2017年2月期)決算を発表したアスクル(2678)は配送拠点火災で特別損失101億円を計上し最終損益が29億円の赤字となったものの、悪材料出尽くしで5.9%高となりました。引けは3.2%高となったものの、グリー(3632)も国内大手証券による投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時10%高近くまで買われ年初来高値を更新しました。また、米中首脳会談を控え北朝鮮の地政学リスクが意識されるなか防衛関連が買いを集めました。石川製作所(6208)がストップ高となったほか、豊和工業(6203)も6.4%高となり、ともに年初来高値を更新しています。新興市場ではマザーズ市場のそーせいグループ(4565)が高く、英子会社で進めるがん免疫治療の新薬開発で英アストラゼネカから1200万ドルの一時金収入を受け取ったと発表したことが好感され4.8%高となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日経平均は1月24日の終値ベースでの年初来安値(18,787円)だけでなく、1月18日に付けたザラ場の安値(18,650円)も下回ってしまいました。年度末の先週末に一目均衡表の雲を下に抜けてしまった後での安値更新だけに下値不安が高まりやすく、地政学リスクがさらに高まったり、一段と円高が進むようなことになるとさらに下値を模索する展開もありそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)