1.概況
本日の日本市場は重要イベントを控え様子見で小幅続落となりました。買い材料に乏しいこともあって80円安の19,528円で寄り付いた日経平均はしばらくして下げ幅を三桁に広げ105円安まで下落しましたが、節目の19,500円手前で底堅さをみせたことで下げ幅を縮め後場には19,600円まであと20円弱のところまで持ち直す場面もみられました。19,500円台で小動きとなった日経平均は結局32円安の19,577円と続落となりました。東証1部の売買代金はこう着感の強い相場で1兆6771億円と3日続けて2兆円を割り込んでいます。新興市場は小幅な下落に止まった日経平均に対して下げがきつく、東証マザーズ指数が3%を超える下落となり大幅続落となったほか、日経ジャスダック平均も1%近く下げ反落となりました。
2.個別銘柄等
昨日は決算発表の再延期を受けて一時大きく下落しながらも後場に切り返し小幅なプラスで取引を終えた東芝(6502)ですが、本日は後場に一段安となり12.2%安と急落しました。東証が上場廃止の恐れのある「監理銘柄」に指定したことで改めて上場廃止の懸念が意識されたようです。一方で昨日に5%近く上げた三菱重工業(7011)は本日も買いが続き大幅高となりました。米サンオノフレ原子力発電所での放射性物質を含む水が漏洩した事故での損害賠償請求で三菱重工業の主張が認められたことが引き続き好感され4.2%高となりました。ドラッグストアーのツルハホールディングス(3391)も第3四半期(2016年5月-2017年2月)決算で営業利益が2割を超す大幅増益となったことで一時3%以上上昇する場面がみられました。このところ上昇基調だったシャープ(6753)も2018年3月期に6期ぶりに復配する方針と伝わったことで一時4%高近くまで買われ昨年来高値を更新しました。しかし、買いが続かず利益確定の売りが出て下げに転じ2.6%安で取引を終えています。ユーロ円建ての新株予約権付社債を発行すると発表した三菱ケミカルホールディングス(4188)と九州電力(9508)も希薄化懸念から売られました。三菱ケミカルホールディングスが3.3%安、九州電力が8.0%安となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日経平均は昨日に比べれば動きがみられたものの、引き続き一日の値幅が小さかったうえ、売買代金も少なく様子見となりました。明日に重要イベントが数多く控えているためですが、そのなかでもより関心が高いのが米FOMCとオランダ議会選挙です。米FOMCでは参加メンバーの政策金利見通しが上方修正され3回といった年内の利上げ回数の見方に変化があるのか、またオランダ議会選挙ではウィルダース党首率いる自由党がどこまで議席を伸ばすのかが焦点となりそうで、その結果次第で相場が大きく動く可能性がありそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)