1.概況
本日の日本市場は円高を嫌気して続落となりました。59円安の19,409円と小幅に下げて寄り付いた日経平均は取引開始後20分で128円安まで売られましたが、一目均衡表の転換線(19,331円)を前に下げ止まるとやや持ち直し98円安で前場の取引を終えました。109円安と三桁の下げで寄り付いた後場は大きく下げ幅を広げることなく前場の安値を前に下げ渋ると14時半すぎには62円安まで下げ幅を縮める場面もありました。結局、日経平均は90円安の19,379円で取引を終えています。東証1部の売買代金は一日の値幅が71円と小幅なものに止まるなか薄商いとなり1兆7209億円と9日ぶりに2兆円を割り込みました。一方で新興市場は本日も堅調で東証マザーズ指数が11日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も17日続伸となり連日で昨年来高値を更新しています。
2.個別銘柄等
三越伊勢丹ホールディングス(3099)が5.1%安、ヤマトホールディングス(9064)が4.0%安と大きく下げました。三越伊勢丹ホールディングスは事業の多角化で社内に混乱を招いた責任をとる格好で後任未定のまま大西洋社長が3月31日付で辞任すると伝わったことが嫌気されました。ヤマトホールディングスはグループ会社の約7万6000人の社員を対象にサービス残業の実態を調べ、支払総額が数百億円に上る可能性もある未払い分を支給する方針を固めたと伝わり売られました。三井住友フィナンシャルグループ(8316)も傘下の三井住友銀が保有する株式を売り出すと発表したことで需給悪化懸念から1.9%安となっています。SUMCO(3436)も国内大手証券の投資判断の引き下げを嫌気して4.3%安となり、グリー(3632)も投資判断の引き下げで2.4%安となりました。一方で商いを集めたのが任天堂(7974)で、新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の発売を受けて先週末に3.7%高となったのに続いては本日も一時は3.4%高となる場面がみられました。引けは2.2%高となり売買代金でトップとなっています。北朝鮮によるミサイル発射を受けて買われたのが防衛関連銘柄で、なかでも石川製作所(6208)は5.1%高と大きく上げています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日本市場は、先週末にイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長とフィッシャーFRB副議長が講演で3月利上げに前向きな姿勢を示したにも関わらず、ドル円が113円台後半での推移となったことから続落となりました。日経平均は相変わらずドル円に神経質な展開が続いていますが、今週も引き続き下値では25日移動平均線や一目均衡表の雲の上限を維持できるか、反対に上値では昨年来高値(19,594円)を上回れるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)