1.概況
本日の日本市場は、昨日の米国市場でダウ平均が小幅に上昇し12営業日連続で史上最高値を更新したほか、ドル円が112円台後半と円安に振れたことから小幅に反発となりました。87円高の19,194円で寄り付いた日経平均は上げ幅を三桁に広げると取引開始25分で160円高まで買われました。その後もしばらく19,200円台で堅調に推移しましたが、円安が一服したこともあって14時半過ぎから上げ幅を急速に縮めると結局11円高の19,118円と5営業日ぶりに小幅に反発して取引を終えています。新興市場は本日もしっかりで東証マザーズ指数が小幅に7営業日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も小幅に13営業日続伸となり連日で昨年来高値を付けています。

2.個別銘柄等
円高で昨日に売られた自動車やハイテクなどの輸出関連株は円安で本日は総じてしっかりでしたが、こうしたなかで冴えなかったのがTDK(6762)で、外資系証券による目標株価と投資判断の引き下げが嫌気され1.4%安となりました。半導体事業を分社化して設立する新会社の株式を100%売却し最大2兆5000億円前後の資金調達を見込んでいると報じられた東芝(6502)も3.5%安と大きく下げています。一方でシャープ(6753)が一時3.7%高まで上昇する場面がありました。2018年度以降の東証1部復帰に向けて申請準備を始めたと報じられたことで買われました。そのほか上昇が目立ったのが電子書籍取次のメディアドゥ(3678)で、同業の出版デジタル機構を約80億円で買収すると伝わり買いを集めストップ高となり、東証1部で上昇率トップとなりました。連想買いがみられたのが防衛関連銘柄で、トランプ大統領が2018年度の軍事費を今年度に比べ約1割増やすと述べ昨日の米国市場で軍事関連株が上昇したことから、石川製作所(6208)や豊和工業(6203)、新明和工業(7224)、東京計器(7721)などが物色され、石川製作所は14.1%高と急伸し一時ストップ高となる場面もみられました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
一時160円高まで上値を伸ばした日経平均ですが、明日にトランプ米大統領の議会演説を控えていることもあって取引終盤には買いを手控える動きが強まり上げ幅を縮め11円高と小幅な上昇に止まりました。そのトランプ米大統領の議会演説は明日の日本時間午前11時から行われる予定ですが、議会演説の内容次第では節目の19,500円や昨年来高値(19,594円)を抜けてくるような展開や、反対に一目均衡表の雲の上限(19,053円)や19,000円の節目を割り込むような展開があるかもしれません。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)