1.概況
本日の日本市場は113円台前半で推移した円高が重石となり小幅に下落しました。5銭高とほぼ横ばいで寄り付いた日経平均は直ぐにマイナスに転じると下げ幅を広げ10時過ぎには117円安まで売られました。その後切り返し二桁の下げでの推移を続けた日経平均は引けにかけてさらに下げ幅を縮めたものの、戻し切れず結局8円安の19,371円で取引を終えています。一方で新興市場は本日も堅調で東証マザーズ指数が4営業日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も10営業日続伸となり昨年来高値を連日で更新しています。

2.個別銘柄等
ヤマトホールディングス(9064)が7.9%高と大きく上げ、東証1部で上昇率2位となりました。人手不足による人件費の高騰や外部委託費の増加などで今期の営業利益の見通しを下方修正するなど、宅配便の取扱個数が増加するなかでのコスト増が懸念材料となっていましたが、ヤマト運輸の労働組合が2017年の春季労使交渉で初めて宅配便の荷受量の抑制を求めたと伝わり、これにより一段のコスト増が回避され収益が改善するとの期待から買いを集めました。陸運業界全体で採算改善が進むとの期待や、ヤマト運輸の宅配便の荷受量の抑制で受注が増えるとの期待などからセイノーホールディングス(9076)や福山通運(9075)も買われ、セイノーホールディングスが5.1%高、福山通運が3.2%高となっています。ニトリホールディングス(9843)も2月の既存店売上高が前年同月比7.4%増と高い伸びとなったことで3.1%高となっています。サイバーエージェント(4751)は国内大手証券の目標株価と投資判断の引き上げを受けて5.3%高となりました。スイスのロシュと共同で開発する新薬の治験で死亡者が出たことが明らかとなった中外製薬(4519)は一時6%近く下げる場面がありましたが、後場に持ち直し引けは0.3%高となっています。昨日に2割以上上昇した東芝(6502)は昨日に急反発した反動で4.3%安となりました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日の米国市場でダウ平均は小幅に続伸し9営業日連続で史上最高値を更新しました。これは1987年1月以来30年ぶりの記録だそうですが、それでも日本市場はハト派的なFOMC議事要旨を受けての円高が重石となり冴えない一日でした。円安が進まないと日経平均は19,500円の節目を前に上値の重い展開が続きそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)