1.概況
本日の日本市場は、昨日の米国市場で主要3指数が揃って史上最高値を更新したことに加えて、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受けてドル円が114円台を付け円安に振れたことから大幅反発となりました。199円高の19,438円で寄り付いた日経平均は上げ幅を260円高近くまで広げると19,500円を前に上値を押さえられましたが、大きく押すことなくその後も堅調に推移し199円高の19,437円と寄り付きとほぼ同水準で取引を終えています。このように一日を通して高値圏で一進一退となりこう着相場となった日経平均の本日一日の値幅は75円余りと今年に入って最小となっています。また、新興市場では東証マザーズ指数が3日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も4日続伸となり小幅に昨年来高値を更新しています。

2.個別銘柄等
イエレンFRB議長が早期の利上げに前向きと受け止められる議会証言を行い米長期金利が上昇したことでメガバンクや生損保といった金融株が買われました。三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が1.7%高、第一生命ホールディングス(8750)が4.5%高となりともに昨年来高値を更新したほか、東京海上ホールディングス(8766)も4.1%高となっています。また、セイコーホールディングス(8050)が7.4%高と大きく上げています。第3四半期累計(2016年4-12月期)の営業利益は前年同期比で大幅減益ながら、第3四半期3カ月(10-12月期)に限ってみると増益で業績悪化に歯止めがかかったとの見方から買いを集めました。さらにユニチャーム(8113)が後場に一段高となりました。昼休み中に決算と同時に発表した自社株買いと増配が好感され一時4.0%高となる場面もみられました。昨日の取引終了後に自社株買いと増配を発表した電通(4324)も8.4%高と急伸しています。日本精工(6471)は国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたことで6.3%高となりました。一方で昨日に予定していた決算発表を延期し、代わりに昨日の夕方になって現時点での業績の見通しを発表した東芝(6502)は急落が続き、昨日の8.0%安に続いて本日も8.7%安となりました。2016年4-12月期は5000億円近い最終赤字となり、その結果昨年末時点で1900億円強の債務超過になったとの見通しを発表しましたが、悪材料出尽くしとはならず売りがかさみました。シマノ(7309)も4.4%安と大きく下げています。2017年12月期の営業利益の見通しが660億円と820億円程度を期待する市場予想を大きく下回ったことが嫌気されました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も投資判断の引き下げを受けて6.1%安となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日に東芝の決算発表延期を嫌気して220円安となった日経平均は本日、昨日の下げをほぼ取り戻しました。これにより仕切り直しで1月4日に付けた昨年来高値(19,594円)を試しに行く体制が再び整ったといえます。今週も残り2営業日ですが、節目の19,500円近辺で上値の重さが目立つなかで、日経平均が明日、明後日で昨年来高値を試す展開をみせるかが注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)