波乱の多かった2016年

いよいよ2016年も残りわずかとなり、年内の日本株の営業日は本日14日を入れて12営業日のみである。皆様もご承知のように、2016年は世界的に国内外の政治・経済で波乱の多い年だった。年初から大幅な原油安が進行し、WTI原油先物価格は一時1バレル30ドルを割り込む水準まで下落した。また、1月末に日銀が「マイナス金利政策」を導入、6月には英国のEU離脱(Brexit)が決定した。そして極めつけはトランプ氏の米大統領選勝利だ。事前の調査ではクリントン氏の優位が報じられていただけに、トランプ氏の勝利自体も驚きだが、その後大幅な円安・株高が進行したことを驚きを持ってむかえている方が多いのではないか。
昨年末に1万9000円を超えていた日経平均は年初から大きく下落し一時1万5000円を割り込んだ。そして12月に入り再び1万9000円を回復して年初来高値を更新と、まさにジェットコースターのような1年だったと言えるだろう。
本レポートでは、このように波乱の多かった1年の中で「上昇した銘柄」「下落した銘柄」というテーマで様々に振り返ってみたい。

上昇した業種・下落した業種

まずは、業種別の騰落率をご紹介する。表1は2015年および2016年(12月13日まで)の業種別の騰落率を示している。2016年の上昇率トップは「その他製品」だ。言わずもがなこれは任天堂(7974)の大幅上昇の影響だ。7月に提供を開始した「ポケモンGO」が米国での大ヒットをきっかけに世界的なブームとなり、日本でも運転中のゲーム操作やレアなポケモンが出没する場所に人が殺到するなど社会問題化となった。ゲームの発表前に1万5000円どころだった株価は、一時3万2000円超まで、足元でも2万8000円程度まで大幅に上昇した。そして、業種の上昇率2位は「石油・石炭製品」、3位は「卸売業」、5位は「鉄鋼」とコモディティ関連業種が上位に並んだ。昨年冴えなかった原油などの各種コモディティ価格が上昇してきたことで関連業種が買われたとみられる。
そして目につくのが2015年と2016年の順位の変動だ。表では上昇率ベスト10を赤色、ワースト10を青色で色付けしているが、2015年のワースト10銘柄が2016年のベストテンに多くランクインし、反対に2015年のベストテン銘柄が2016年のワースト10に多くランクインしている。これは出遅れ銘柄を狙って買いが入る循環物色がうまく働いているということだろう。
来年も同様に循環が働くかはわからないが、今年あまりパフォーマンスの冴えなかったセクターの銘柄を選好するのも1つの投資戦略かもしれない。

2016年に上昇した銘柄・下落した銘柄は

ではいよいよ上昇した銘柄・下落した銘柄を市場別にご紹介する。以下の表は、市場別に2015年末の終値と2016年12月13日の終値を比較(分割等考慮済み)して上昇率・下落率がそれぞれ大きかった銘柄をまとめたものだ。

■東証1部

■東証マザーズ・ジャスダック

以上のような結果となった。ただ、この結果だけを見てもあまり投資への示唆は得られない。そこで今回は、前年にパフォーマンスが良かった銘柄・悪かった銘柄の翌年のパフォーマンスを調べてみた。具体的には昨年2015年の上昇率が大きかった銘柄、下落率が大きかった銘柄の今年2016年の動向をまとめた(東証1部のみ)。すると、興味深い結果が得られた。
2015年に上昇率が大きかった上位10銘柄を見てみると、2016年も上昇したのはわずか2銘柄にとどまった。さらに下落した8銘柄のうち6銘柄は10%以上の大きな下げとなっている。反対に2015年に下落率が大きかった10銘柄を見てみると、2016年も下落したのは2銘柄のみで残る8銘柄は上昇している。さらに8銘柄中7銘柄は二桁以上の上昇率だ。もちろん来年も同様の傾向となるかは不透明だが、今年下落率の大きかった銘柄の来年の逆襲に期待するというのも一考に値するかもしれない。

■東証1部

最後に、ご参考まで2016年1月~11月にマネックス証券で購入した人数が多かった銘柄ランキングをご紹介する。知名度が高く最低購入金額も低いメガバンク2行が上位を占めたほか、時価総額・知名度とも高い自動車各社や電機メーカが上位にランクインしている。また、イオン(8267)や)ANAホールディングス(9202)といった株主優待が人気の銘柄、グリーンペプタイド(4594)やアンジェスMG(4563)といったバイオ株も多くの方が購入していた。