ようやくドル/円はリバウンド局面入り?

本欄では、 前々回に引き続いて 前回更新分でもドル/円の局面変化の可能性について述べています。やはり、要素として大きいのは3月の決算期末を通過し、新年度入りしたという物理的な部分であると思われますが、その一方で3月下旬あたりから朝鮮半島リスクが俄かに後退しはじめていることや、足下で米中通商摩擦が緩和されるとの期待が強まってきていることなども見逃せない要素であると思われます。

もちろん、なおも米国経済の成長が強い基調を維持していることが重要ということは言うまでもなく、少し振り返れば、3月28日に発表された米10-12月期GDP(確報値)が前期比年率+2.9%まで上方修正された(市場予想は+2.7%)ことは、相当なインパクトを伴うポジティブサプライズであったと言っていいでしょう。

その意味では、本日(11日)発表される米3月消費者物価指数(CPI)の結果も大いに気になるところです。市場は、食品・エネルギーを除いたコア指数で前年比+2.1%と予想しており、実際の結果が予想通りあるいはそれ以上であった場合、米利上げについて「年内あと3回」との見方にあらためて賛同する向きも増える可能性があるものと思われます。

テクニカルの面では、下図でも確認できる通り、まず3月28日以降に21日移動平均線(21日線)を試す動きとなって、すでに足下では同線をクリアに上抜けたと見られることが一つのポイントになると思われます。思えば、今年の1月9日以降、この21日線は長らくドル/円の強い上値抵抗として機能し続けていました。

また、ここにきて一目均衡表の日足の「遅行線」が久しぶりに日々線を上抜けてきたことも一つの変化と見ていいでしょう。やはり、これも今年の1月9日以来のことです。もちろん、目下は日足「雲」下限の水準が当座の上値抵抗として意識されていることも事実ですが、今後この日足「雲」のなかに潜り込む恰好となってきた場合には、そのこと自体が局面変化の一つの証と捉えることができるでしょう。

そして、何より注目しておきたいのは先週5日高値=107.49円が3月13日高値=107.29円を上抜ける動きとなったことです。振り返れば、ドル/円は昨年11月6日に114.73円の高値をつけて以来、3月下旬まで下降トレンドを形成し続け、そのなかで常に戻り高値を切り下げ続けてきていました。その所謂「高値切り下げパターン」がようやく幕を閉じたとするならば、目下のドル/円は3月23日安値を起点としたリバウンド局面に突入している可能性が高いと見ることもできるようになると思われます。

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もちろん、当面のドル/円に対してより強気になるためには、まず前述したように日足「雲」下限の抵抗を攻略し、少なくとも先週5日高値の水準に再度トライするといった展開になってくることが必要でしょう。ぶつ

仮に同水準をもクリアすれば、次は今年2月21日高値=107.90円処が意識されるところとなるでしょう。やはり、今のところは108円手前の水準というのが一つの壁であり、それだけに同水準を上抜けるような展開となれば、いよいよ本格的なリバウンド相場が展開されるようになるものと見ます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役