魅力あふれる沖縄県
本日のレポートでは訪日外国人の増加による恩恵はもちろん、人口の増加など様々な追い風が吹いている沖縄県と関連銘柄についてご紹介いたします。
まず沖縄経済に吹く追い風の1つ目は、観光客の増加です。エメラルドブルーの海と独特の文化という観光資源を持つ沖縄には、観光客の来訪が加速しており、平成26年度は観光客総数・外国人観光客数とも過去最高を更新しました(グラフ1参照)。外国人観光客全体の増加ペースから考えると、今年度も前年度を上回るペースで外国人観光客が沖縄を訪れているとみられます。観光客の増加は沖縄県内の消費の増加という形で、沖縄経済にプラスに作用します。
沖縄経済に吹く追い風の2つ目は、人口減少が進む日本において数少ない人口増加県であるということです。総務省発表の人口推計によれば平成25年から26年にかけて人口が増加したのは全国に7都道府県しかありません。その中で沖縄県は前年比0.4%増と0.68%増の東京都に次いで全国で2番目に高い人口増加率となりました(グラフ2参照)。
さらに、沖縄県は40歳以下の若年層が総人口に占める比率が、日本で1番高い県であり、今後の経済成長にもプラスに働く可能性が高い魅力的な人口構成となっています(グラフ3参照)。
消費の増加は既に現れている
これまで見てきたように、沖縄県には観光客の増加と人口増という追い風が吹いています。そしてその追い風は既にある統計に結果が現れています。グラフ4に示したのは経済産業省が発表している「商業動態統計調査」で都道府県別の小売販売金額の前年比の増加率を見たものです。平成24~26年度の3年間の伸びを平均すると、沖縄県は7.8%と全国で群を抜いた伸びを見せています。この統計を見ると、沖縄の小売業には期待を寄せても良さそうです。
沖縄小売業の覇者 サンエー(2659)
沖縄で小売業を展開している企業の代表がサンエー(2659)です。サンエーは沖縄県で地域密着型ビジネスを手がける総合小売業で、食料品、日用雑貨、衣料品、大型家電、レストラン、ホテル、コンビニエンスストアなど幅広く事業を展開しています。サンエーは、その名の通り「サンエー」というスーパーマーケットを沖縄県内に数多く展開しているだけでなく、ローソン、良品計画、マツモトキヨシ、大阪王将、タリーズコーヒー、東急ハンズなどを沖縄県内でFC展開しています。サンエーは沖縄小売業の覇者とも呼べるような存在というわけです。サンエーの沖縄での存在感を示しているのが、以下の表です。
表の通り、サンエーの売上は1500億円を超え沖縄県の企業の中で第3位、上場企業に限れば沖縄電力に次いで第2位、小売業ではイオン琉球に大きく差をつけて首位となっています。上述したように沖縄県は観光客増と人口増で消費が増えやすい構図にあるとみられ、そして消費が増えた際に恩恵を受けやすいのがサンエーというわけです。
長期にわたって好調なサンエーの業績
サンエーの過去20年間の売上と営業利益の推移をグラフにしてみました(グラフ5)。1996年2月期から2015年2月期までの20期で、売上高はすべての期で前期比増収を達成、営業利益を20期中18期で増益達成と、業績の安定度はかなり高いと言えます。
また、直近発表された平成28年第1四半期(3-5月期)の決算も売上高が422.9億円で前年同期比5%増、営業利益が35.8億円で同13.2%増と好調でした。会社予想では今期の売上高が1675億円(前期比1.8%増)、営業利益が129億円(前期比0.7%増)となっていますが、かなり保守的な予想に見受けられます。
過去5期分のサンエーの売上高の3ヶ月ごとの偏りの平均を見ると、第1四半期から順に、24.2%・26.3%・23.7%・25.8%となります。今期の売上高が過去の平均と同様に偏ると仮定して計算すると、第2四半期は459.5億円、第3四半期は414.1億円、第4四半期は450.8億円となり、今期の売上高は1747.5億円(前期比6.1%増)、会社予想から上振れを期待することができます。そして、過去4四半期の営業利益率の平均7.95%から計算すると、今期の営業利益は138.9億円(前期比7.4%増)とこちらも会社予想からの上振れを期待することができます。沖縄県がおかれた好マクロ経済環境を背景に、サンエーの堅調な業績は継続するのではないかと見ています。
企業情報
サンエー(2659)
株価(売買単位):6,220円(100株)
時価総額:約1989億円
予想PER:24.9倍
PBR:2.3倍
ROE:9.4%
今期予想1株配当(会社予想):36円
予想配当利回り(会社予想から計算):0.58%
自己資本比率:69.0%
(出所)2015年8月6日時点のQUICKデータよりマネックス証券作成