ダウ平均は27日までの8連敗にもかかわらず、史上最高値からの下落率はわずか2.7%にとどまっています。27日といえば、ちょうどトランプラリーが始まる直前の、安値から97日が経過したところ。2015年以降の95日前後の安値サイクルが続いていれば、いったん買い場とみることができそうです。
米景気は足元堅調ですが、トランプ政権が掲げる政策によって景気が持ち上がっているわけではなく、期待先行によって強い株高モメンタムが示現しました。足元の株価調整は政策実行能力に対する懸念により、米景気の拡大期待がやや剝落しているだけ。
時価総額で世界最大の米アップル株の上昇が続いており、米国の投資家の強気マインドが減退したとは思えません。トランプ政権の経済政策への依存度が相対的に低い半導体株が投資家の今の選好対象となっており、余裕のジャブ買いといったところでしょう。
米長期金利も騒ぐほど下がっていない。目先は再び2.5%を超える水準まで戻り、ドル買い・円売りが意識される局面があるでしょう。米長期金利に連動する日経平均もモミ合いの範ちゅうにとどまっています。

さて、28日のモーニングサテライト(テレビ東京)でもお話ししたのですが、今年に入って日本株に売りを出している海外投資家は4月に入ると買い参入に転じる可能性があります。2003年以降、海外投資家による日本株の売買を、月別に差し引きした合計でみますと、買い越しトップは4月がダントツとなります。米国の投資信託からの資金流入や、新年度入りで国内の機関投資家の買いに追随するヘッジファンドの存在が要因として挙げられます。14年間の単月のランキングでも、4月は1位(2兆6,826億円、2013年)と4位(1兆9,953円、2015年)にランクインするほど、買いが増える傾向にあります。
今年もドル/円相場が110円近くまで円高が進みながらも、株価はモミ合いを続けていますので、企業収益の底堅さや株主還元意欲が確認できれば、日本株を買い戻す可能性はあるとみています。
あと、東芝の行方も影響があると思います。27日の米国市場は円高に加え、米主要3指数も大した動きではなかったはずなのに、日本株のADRが軒並み強く上昇していました。あまりないパターンです。もしかすると、東芝の米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の米連邦破産法(チャプター11)申請のニュースが流れていたため、それを好感して日本株のADRを購入したのではないかと勘ぐるぐらい、強い反応だったのです。なので、東芝の問題もある程度落ち着けば、海外投資家は日本株に、というか、日本企業に少しは目を向けてくれるかもしれませんね。

最後に「投資戦略セミナー」のお知らせです。4月22日(土)14時30分より、総合投資情報サイト「トレーダーズ・ウェブ」を運営している株式会社DZHフィナンシャルリサーチ主催で、一般投資家向け無料セミナーを開催いたします。「これからどうなる株式市場」~日本株に再び強気サインが点灯、米国株はバブルの成熟期へ~と題し、2017年後半にかけてどのような相場展開が予想されるかを、わかりやすくご説明いたします。
内容は、1)日経平均、ドル/円、NYダウのチャートのポイント、2)中小型株指数が2006年高値を上回った意味、3)米国株は大天井に向けてバブル成熟局面か、4)「5月に株を売れ」の相場格言は今年は有効か、などを中心にじっくりと解説いたします。
是非この機会に参加してください。

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

「トレーダーズ・プレミアム」は、個人投資家の心強い味方です!! (DZHフィナンシャルリサーチのウェブサイトに遷移します。)