日経平均は12/18、日銀による異次元緩和の補完措置の導入が発表され、取引時間中には25日線(図表の緑線)を上回り19,869円まで上昇する場面がありました。しかし、25日線がすでに下落基調に転じていたことや、上方のマド(12/3安値19,862円)埋めの達成感から終値では押し戻され、ローソク足は「上ヒゲの長い陰線」を形成。2万円に向けて「ジャブ」を打つような「往って来い」の動きとなり、少し嫌なムードを残すかたちになりました。ただ、ここで以下のことを少し気にかけておいてください。「上ヒゲの長い陰線」が時間の中心になる可能性があることです。例えば、9/29安値から次の主要な高値や安値を付ける期間までの中心になる場合、先の日柄で重要なタイミングはいつなのか? また、12/1から次の主要な高値や安値を付ける期間までの中心になる場合、先の日柄で重要なタイミングはいつか?ということです。

この「ジャブ(上ヒゲの長い陰線)」が単なる「アヤ戻し」であれば、12/15安値を下回り12/1高値を起点に逆N字波動(二段下げ)となります。それとも、この「ジャブ」が「上値追いの準備運動」となり、12/15安値を下回らず12/1高値を上回るより大きなN字波動(二段上げ)を描くのか。2016年の前半相場を占う上でも、どちらになるかの方向性が重要なポイントです。

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後者の二段上げのパターンの場合、6月に付けた年初来高値(20,952円)は早期に更新する可能性が高くなりそうです。2000年4月高値(20,833円)~2003年4月安値(7,607円)までの下落幅13,226円を2011年11月安値(8,160円)から逆に上げた21,386円処、1996年6月高値(22,666円)と2000年4月高値の中値21,749円処などが、2016年4月に向けての上値の目安になります。高値更新後の値幅があまり出ないパターンになる可能性が高く、その後の反動で19,000円台前半に再び押し戻される展開が予想されます。

一方、12/1高値から逆N字波動(二段下げ)となる場合、短期的には17,700円~18,000円処まで下落余地が生じると思われます。下落幅が深まる分、調整期間も長引き2月~4月頃まではもみ合い相場にとどまることが予想されます。ただ、その際に重要なのは、2011年後半の安値を基点とした右肩上がりの下値支持線です(長期のチャートをご準備可能な方はご覧ください)。4月頃までの調整が続くケースであっても、この下値支持線を維持できればもみ合い相場は上放出につながる可能性が高まるとみています。もみ合いはエネルギーを蓄積することになるため、早期に6月高値を更新するパターンよりも、2016年を通じた高値は高くなるような気がします。例えば、1996年6月高値~2003年4月安値までの下げ幅15,059円を2009年3月安値から上げた22,113円処、1990年10月安値と1991年3月高値の中値23,683円処はあっても不思議ではありません。「損して得取れ」といったところでしょうか。

いずれにしても、2015年の相場で忘れてはいけないことは、2007年高値(18,300円処)を上回り、長期波動では買いサインが点灯したことです。2015年は8月の急落を挟み、まさに相場格言でいう「未(ひつじ)辛抱」の年ではあったのですが、2007年高値付近をおおむね維持していれば、「申酉(さるとり)騒ぐ」の前兆が続いている、とみるべきだろうと思います。

なお、2016年の見通しについては、年明け1/7(木)のマネックス証券オンラインセミナーにて、注目銘柄とともにご案内させていただきます。

年内は最後の「相場一点喜怒哀楽」となりました。来年も何卒、よろしくお願い申し上げます。

東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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