日本郵政(6178)が高値をとってきました。再び上昇基調を強める可能性が高く、郵政3社の株価が相場全体をけん引するシナリオは捨て切れません。ただ、上海総合指数が急に大きく下げたり、米国の景気指標に弱いものが目立ってきたりと、何だか気持ちの悪い状況です。毎週火曜日の夜、自宅から日経CNBCの「夜エクスプレス」に電話出演(11時30分~)させて頂いていますが、12月1日の番組終了後の0時(日本時間12月2日)に発表された米国の11月ISM製造業景気指数が市場予想(50.5)を下回る48.6での着地となりました。好不況の分かれ目である50も一気に下回ってしまいました。50割れは2012年11月以来です。このところの米景気指標が市場予想を下回ることが多くなっているのは認識していましたが、さすがにISMの結果をみて株は下げるだろうと思い、即座にPCで株価を確認したところ、特段とネガティブな反応はなく、結局ダウ平均は168ドル高で終えました。概ね日々の材料に対する市場の反応は理解してきたつもりなのですが、数年ぶりに(どうして上がる?)理解に苦しんだ日となりました。
上海総合指数を週足ベースでみると、一目均衡表では基準線が下落に転じるのは時間の問題。WTI原油も再び軟化してきており、来年1月~2月頃までは下げが続くかもしれません。株とドル円相場は2月頃まで堅調な展開と予想している手前、各市場間の予測の整合性を取るのが非常に難しくなってきたと感じています。

今週は年後半では最大のヤマ場です。注目材料はいうまでもなく、12月3日のイエレンFRB議長による上下両院経済合同委員会での証言と、12月4日に発表される米11月雇用統計。利上げ実施の可能性が高い12月15日-16日のFOMC(連邦公開市場委員会) 直前のイベントとして、市場の注目度は一段と高まっています。追加緩和に踏み切る観測が強い12月3日のECB(欧州中央銀行)理事会も、米国の利上げイベントと重なるだけに要注目です。
これらのイベントに反応する米債券市場や為替市場から目が離せません。雇用統計の結果次第では、その過剰反応が株価を動かす要因になるからです。米10年債利回りは11月9日までの上昇の反動で、200日移動平均線まで調整(金利低下)したところです。どちらかというと、今度は雇用統計の堅調な結果に対しては金利上昇で反応を示す可能性が高いと判断できます。ドル円相場は12月4-8日に「相場の変化日」を迎える可能性が高く、円安か円高に大きく反応することを示唆しているようにもみえます。
つまり、米国の金利動向が日本株やドル円相場にとって最大の着目点となります。織り込める範囲の金利上昇ならドル高・円安・株高によって日経平均は2万円を明確に突破し、年初来高値を目指す。株式市場が即座に織り込めないスピードで金利が上昇するケースは、ドル安・円高・株安が加速し、米国株安の連鎖から日経平均は19,000円を割り込む覚悟が必要です。
そして、ここが最も重要かもしれません。このところの弱い米国の景気指標、米10年債利回りの200日移動平均線までの低下はむしろ、利上げ後の景気鈍化を織り込んでいる可能性が高いとしたらどうでしょう。金利が上向いてくならば200日移動平均線まで大きく低下するでしょうか? 米利上げが材料出尽くしとなり金利が一段と低下、ドル安・円高・株安の方に警戒が必要かもしれません。それはまだ少数派だと思いますが・・・
いつも「たられば」で申し訳ありませんが、益々わからなくなってきました!
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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