信用の買い残の増加は11週連続。SNS関連の急落などに影響され、買い残は減少しているのではないかと予想しましたが、この下げ相場でも買い余力はまだまだあったようです。一方、売り残は8週連続で減少。その結果、買い残を売り残で割った信用倍率は3.19倍に。買い残りが売り残りの3倍あるということで、悪いことではないですが、買い残の増加は将来の売り圧力となります。足元の戻りの鈍い相場や個別株でも結構下げる銘柄があるのは、そういった売りなども絡んでいるのだと思われます。

しかし、2010年4月高値のときもそうでしたが、3倍程度になると信用倍率自体はピークアウトする傾向があります。そのあとも株価は不安定な状況が続くケースは多いですが、下値固めに入る経験則があります。そういった意味でも、足元はもう少し辛抱。信用倍率の上げ下げは毎回そうなる宿命的なものです。株価が上昇するに連れて買い方が増加していくため、上昇相場の後半(高値圏)に買い残が増えて、上にマグマが溜まってしまう。高値圏からある一定の水準を下回ってくると、頭が重くなって不安定になる。どうしても相場って、その繰り返しなのです。2倍ぐらいまで低下すれば株価は上昇する、というか、上昇しやすくなるといった方が正しいです。

こういった環境下、例えば、日経平均が25日線を下回っているように、東証一部の大半の銘柄もそれを下回っています。16日現在、東証一部1670銘柄程度のうち25日線のトレンドが上向きなのは100銘柄程度。割安や業績好調なものが多いです。

足元の相場、リバウンド狙いの買いが魅力的な水準まで下げてきましたが、あえて上昇トレンド銘柄の上を買う勇気はありますか。少し挙げてみました。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ