桜というものは、本当に日本人は好きです。日本の至る所に、色々な種類の桜があり、それが様々な趣向のもとに植えられ、移設され、剪定され、或いはライトアップされ、もう本当にこれでもかというレベルに、圧倒的な質と量を伴って、プロデュースされ、そして多くの人に愛されています。「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」とは、有名な業平の歌ですが、もちろんこれは逆説であって、業平も桜が好きだったのでしょう。
今年も多くの桜を見ました。家の近くで、会社の近くで、東京で、京都で、しだれ桜、八重桜、染井吉野、山桜。淡い色、濃い色、小さい花、大きい花、薄くて可憐な作り、もっこりと重い作り、小さい木、大きい木、若い木、年季の入った木。
こうして考えると、桜って、まるで人みたいですね。色々な人がいて、様々な思い入れがある。
週末にお花見をした東京から離れた地で、思い掛けず出会った知人の顔が、ふわぁっと明るく咲いた時の光景が、とても印象的でした。今年の桜は、私にとっては最高でした。