前回更新分の本欄では、ドル/円との強い連動性が認められる日経平均株価の行方について分析を試み、幾つかのポイントを押さえたうえで「すでに2月6日からのリバウンドは終了した可能性もないではない」と述べました。もちろん、そうであるならばドル/円のリバウンドも終了した可能性があるということになります。

とくに注目したのは、日経平均株価の日足チャートに描画した一目均衡表の日足「雲」下限と日足「雲」の天地が反転する状態(=「雲のねじれ」)でした。結局のところ、日経平均株価は日足「雲」下限を上抜けることができず、「雲のねじれ」が生じたタイミングにピタリと合わせるかのように天井打ちから大きく反落しています。さらに、先週14日には2月初旬から形成されていた「上昇チャネル」の下限をも下抜けることとなり、このことから「2月6日からの日経平均株価のリバウンドは3月7日高値をもって終了した」との感触がグッと強まることとなったわけです。まさに、これはテクニカル分析の教科書に記されたセオリー通りの展開であったと言うことができるでしょう。

このことを踏まえ、今回はあらためてドル/円の日足チャートに一目均衡表を描画して見てみることにしましょう。下図においても確認できるように、ドル/円が直近高値をつけたのは日経平均株価と同じ3月7日のことでした。結局、同日は終値で日足「雲」上限を上抜けることはできませんでしたが、翌営業日(=10日)には終値で日足「雲」上限を上抜けています。とはいえ、11日の終値は再び日足「雲」のなかに潜り込み、2日連続での日足「雲」上抜けとはならなかったため"明確に"上抜けたとは判断できません。

11日、12日には日足「雲」下限まで下押しする場面が垣間見られ、ドル/円が天井打ちから反落したタイミングと「雲のねじれ」が生じたタイミングは合致しました。これも日経平均株価と同様の動きです。そして13日には、注目していた89日移動平均線(=89日線)と21日移動平均線(=21日線)を次々と一気に下抜けることとなり、その後は重要な節目の一つとして意識されやすい3月3日安値=101.20円近辺までの調整となりました。直近(=14日)安値は101.21円であり、やはり同節目が大いに意識されたところで一旦は下げ止まったものと考えられます。

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目下は、本日(=19日)まで行われている米連邦公開市場委員会(=FOMC)の結果待ちといった状態であり、今回のFOMCでフォワード・ガイダンスの見直しが行われることとなれば、緩和的な金融政策の一段の長期化が連想されてドルに売り圧力がかかる可能性もあります。結果、前述した節目の101.20円を明確に下抜けることとなるかどうかが、目先の大きな焦点ということになるでしょう。仮に同水準を下抜けると、日足の遅行線が日足の「雲」下限を下抜けることとなり、もはや「2月初旬からのリバウンドは終了した」との感触もグッと強まってくるものと思われます。

重要な節目の一つとして意識されている101.20円を明確に下抜けると、次に2月4日安値=100.75円を試すこととなるのでしょうが、実際には、もはやその下方に控える200日移動平均線(=200日線)、そして昨年6月13日安値と10月8日安値を結ぶ「中期サポートライン」までもが視野に入ってくるようになるものと見られます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役