本欄のなかで筆者は、ドル/円について「直近(今年1月2日)高値=105.44円をもって約2年に及んだ5波構成の強気相場が終了し、以降は本格的な調整局面にある」という見立てを前提に今後の相場を展望しています。よって、前回の本欄でも述べたように「値幅にして大よそ30円もの値上がりに対する調整ですから、それが直近(=2月4日)安値の100.75円で完了したと考えるには少々無理がある」とも考えています。
当然、当面のドル/円の調整が強い連動性のある日経平均株価の調整と共鳴し合うような格好となってもおかしくはありません。実際、日経平均株価も昨年12月30日に16320円の高値をつけ、以降は一時的にも14000円を割り込む水準まで下押す場面を垣間見ました。そして、日経平均株価の直近高値である16320円もドル/円の直近高値と同様、5波構成の強気相場の終点であったと筆者は見ています。
下の図でも確認できるように、日経平均株価は11年11月安値=8135円を始点とし、その後は5つの波動で構成される強気相場を昨年12月30日まで続けたと見ることができるものと思われます。その「第5波」の終点が16320円であったと見られるわけです。つまり、より長期的な次元で捉えれば11年11月安値から13年12月高値までが【第1波】であり、現在は【第2波】の調整局面にあるということになるのです。
値幅にして8000円以上の値上がりに対する日経平均株価の調整ですから、やはり「直近(2月5日)安値=13995円で完了したと見ることには少々無理がある」ということになるでしょう。仮に、その上昇幅に対する38.2%押しの水準まで調整すれば13193円、50%押しの水準まで調整すれば12228円あたりを中期的な下値のメドとして想定することもできそうです。もちろん、なおもアベノミクスが進展している最中にあって13000円を割り込むような状態がしばらく続くというのは現実的でないとの見方もあるでしょう。それでも、昨年6月につけた安値=12415円を一時的にも試すという展開はあってもおかしくないものと考えられます。
当面は、日経平均株価の昨年6月安値と8月安値を結ぶライン(上図中の赤線)と日々の値動きとの関係が注目されます。これは以前「中期サポートライン」として意識されていたもので、2月4日、5日に同ラインを明確に下抜けてからは、逆に上値抵抗として意識されるようになっている可能性があります。今後、同ラインに上値を押さえられ続け、いずれ一段の下値を試す展開となった場合には、やはりドル/円の下値余地も徐々に拡がってくるものと考えておく必要があるでしょう。なおも、ドル/円と日経平均株価が「ニワトリとタマゴ」のような関係であることに変わりはありません。
一方、米国ではS&P500種が今年1月半ばにつけた史上最高値水準に迫るなど、足下では強気の展開が続いています。それにも拘らず今後も日経平均株価が軟調な展開を続けるならば、それは「当面の下げ相場に買い材料なし」ということであると認識する必要があるでしょう。米株の上昇には反応薄ながら、その下落にはやけに敏感に反応するといった展開が続く可能性には十分注意しておくことが必要と思われます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役