週末に歌舞伎座に行きました。海老蔵、猿之助、東蔵さんなどを観て、満足。通して観るのは久し振りでしたが、やっぱり面白いですね!演芸単体として観ても、完成度も高く、とても楽しめるものですが、歌舞伎の話の流れや演出の仕方は、日本の芸能のみならず社会の行動様式に広く影響を与えてる気がして、そういった視点からも、中々興味深いものです。

例えば舞台上で部下の侍や側室が数人一直線に並んでいて、順番にセリフがある様子とか、舞台の上手と下手に分かれて並ぶ様子とか、かつてのドリフやひょうきん族から始まるコントの作りは明らかに歌舞伎の様式を模しています。最近成毛眞さんが書かれていますが、歌舞伎では悪者がその悪行がバレると、すかさず一気にさらけ出してイバッて完全な自己紹介をして、その場がなんとなく納得してしまいます。翻って現代に於いて何か悪行がバレた時に、ズルズルと隠そうとする者は多くの代償を払わされ、最初から一気にさらけ出して話す者はあっという間に混乱が収束しがちです。これは歌舞伎が社会に影響していると云うよりは、日本社会の独特の感覚が、歌舞伎という年季の入った大衆芸能の中に良く練り込まれているのでしょう。

歌舞伎は、最近のテレビでは云えないようなえげつないセリフもポンポン出てきますし、観客の層も含めて、とにかく"幅"が広くて、愉快です。また行こうっと!