複数の人が話し合って、何かに合意する。そういう場合、本当に何に合意したかが分かりにくい時があります。私が常々思ってきたのは、事実はひとつだが真実は複数あり得るということ。真実が複数とはちょっと云い過ぎかも知れませんが、ひとつの事実が複数の説明のされ方をされることは、良くあることです。あたかもひとつの物体を円の真ん中に置いて、その円の或る場所からその物体を見た様子を説明すると、視点が円上を移動していくにつれ、何通りもの観察・説明の仕方があるが如くです。本当の事実は何かを知るためには、CTスキャンの画像を再構成するように、多くの視点からの観察情報を収集し、真ん中にあったものの本当の姿形を考えねばなりません。このような考え方を、私はいつも大切にしています。暫くまたその作業をせねばなりませんかね。良い週末を。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。