日本はデフレから脱却出来るのか否か。私は、現政権が取ってきた政策は正しく、
但し現代に於いて大国が一度デフレに陥った場合にそこから脱却するのは容易ではなく、今はまさに格闘しているところだと理解しています。しかし私はきっと我々はデフレから脱却出来るし、いや、是が非でも脱却しなければならないと強く信じています。

私の仕事は金融です。お客さまの資産価値を、様々な環境の中で守り、殖やすこと、或いはマーケットの中で楽しく投資行動していただくこと、それらの実現をサポートすることが仕事です。デフレとインフレ、投資環境としてはインフレの方がやり易いですが、いずれの環境でも資産価値を守ることも殖やすことも可能です。少なくとも資産価値を守ること、いわゆるヘッジすることは、デフレでもインフレでも出来ます。

然しながら、マインドセット=心持ちをヘッジすることは出来ません。デフレの時は、明日の方が安く買えます。だから今日ではなく明日買おうとします。一事が万事、今日やらないで明日やる、来月やる、来年やるとなりがちです。これがデフレマインドです。インフレだと明日の方が高いので、今日中に買おうとなります。そして、明日を待たずに今日やろう、来月ではなく、来年ではなく、今日やろうとなります。日本中で、この2つのマインドセットの違いが累積すると、その差は膨大です。デフレマインドでは生産性が落ちます。インフレマインドでは生産性が上がります。

デフレとインフレで、資産価値は投資戦略によってヘッジすることが出来ますが、マインドセットはヘッジ出来ません。デフレ脱却は、政府・日銀だけの問題ではありません。私たち全員の問題です。企業セクターも、マスコミも、評論家も、個人も、みんなが力を合わせて挑んで脱却しなければならない悪い相手なのです。

今の株式市場や為替市場を見ていると、日本はデフレ脱却の瀬戸際まで追い詰められているとは到底思えませんが、デフレ脱却に対して疑問符を投げつけられているようには見えます。それを対岸の火事のように眺めていてはいけないと思うのです。様々な環境での資産価値防衛の戦略や商品を御案内しつつも、気持ちは常に前向きで行きたいと思います。