いよいよ本日(3日)から日銀金融政策決定会合が行われます。黒田新総裁の下で行われる初の会合ということで、市場の関心も大いに高まっているわけですが、一部には追加緩和の検討項目についての議論が十分に進んでおらず、本腰の入った追加緩和策の決定は次回(4月26日)の会合に持ち越されるのではとの見方もあるようです。そうした見方を嫌気したこともあり、昨日(2日)の東京時間にはドル/円が一時的にも92.57円まで下落する場面もありました。もちろん、会合の決定内容やその後の市場の反応は「フタを開けてみるまでわからない」というのが実際のところです。では、テクニカル的な観点から足下のドル/円相場を分析してみるとどのようなことが言えるのか、あらためて以下で確認しておくことにしましょう。

まず、ドル/円の直近高値は3月12日につけた96.71円です。これは、本欄の2013年3月13日更新分において「このあたりで第3波は終了となることもあり得る」とした96.54円に近いことから、この高値をもって「昨年9月13日安値=77.13円を始点とする第3波(衝撃波)が終了した」との最初の感触が得られました。

その後、ドル/円は下図に見るように重要な下値サポートの一つと認識されていた21日移動平均線(21日線)を明確に下抜け、しばらくはもう一つの下値サポートとして認識されていた40日移動平均線(40日線)に支えられますが、4月1日には比較的長めの陰線を伴って同水準を明確に下抜けました。21日線、40日線という重要な下値サポートを相次いで下抜けたという事実は、やはり「第3波は3月12日高値をもって終了した可能性が高い」との感触を一層強めることにつながります。

さらに、日足の一目均衡表を見ると、なかで最も重要とされる「遅行線」が日々線の位置する水準まで下降してきていることがわかります。いまだ「明確に日々線を下抜けた」という状況には至っておらず、当面はそこが一つの大きな焦点となるでしょう。見えづらくなるため図中には描画していませんが、執筆時には「転換線」が「基準線」を下抜けてきており、これも一つの弱気シグナルであることは確かです。今後、数日内にも遅行線が日々線を明確に下抜けてくるならば、いよいよドル/円相場は「第4波(修正波)」の局面に入ったという感触が大いに強まってくることとなるでしょう。ここは、しっかりと見定めておく必要があります。

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本欄の2013年2月20日更新分でも指摘しているとおり、日柄的に見るとドル/円相場は4月半ばあたりまでの時間帯のどこかで一旦、主要な高値をつけるものと見られていました。仮に、それが3月12日高値であったとすれば、想定された時間帯のなかでも少々早めの時期であったということになります。ただ、日柄的にも水準的にも3月12日高値を「第3波」の終点とすることに違和感はありません。仮に、すでに第4波入りしているとすれば、目先の下値メドは、まず2月25―27日の日足ロウソクにおいて実体部分が位置する水準である92円前後から92円台前半と見られ、同水準を下抜けると2月25日安値の90.88円あたりが次の下値メドになるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役