今回は、ストレートかつシンプルにドル/円をテクニカルで分析します。早速、下の図をご覧いただき、相場が発する一つ一つのシグナルを確認してください。
まず何より注目したいのは、先週の10月17~18日にドル/円が一目均衡表の日足「雲」を明確に上抜け、その時点で「三役好転」と相成ったことです。つまり、それ以前に転換線が基準線を上抜け、遅行線が日々線を上抜けたということであり、これはかなり強気のシグナルと捉えられます。
その後、ドル/円は9月19日高値=79.22円をも明確に上抜け、ほどなく上向きの200日移動平均線(200日線)を上抜けることにも成功しました。ちなみに、9月19日というのは、日銀が金融政策決定会合において追加の金融緩和に動くことを決定したときであり、上向きの200日線を下から上に突き抜けるというのは、強めの買いシグナルであるとされています。
さて、目下の水準はと言いますと、それは今年3月高値から9月安値までの下げ幅に対する38.2%戻し=計算上は79.82円の水準にあります。ここはひとつの重要な節目であり、それだけに目先は一定の到達感が拡がりやすいところです。図には描画していませんが、相場の強弱感を示すRSI(14日)は足下で80%近辺の高水準にあり、目先は少々"お休み"が欲しいところでもあります。
もっとも、為替相場はひとたび勢いがつくと、少々の過熱感などものともせず、そのときどきのトレンドをフォローし続けることが少なくありません。よって今後、目下の上昇トレンドに一段の勢いがついた場合は、次に50.0%戻し=80.65円、61.8%戻し=81.49円などを次々に試す可能性もあります。ちなみに、ドル円の80.55-65円あたりの水準というのは、今年5月、6月に幾度か強い上値抵抗にぶつかったところであり、それだけ重要な節目の一つと考えられます。
なお、過去のドル/円の価格推移には、おおよそ45―50週ごとに重要な安値をつけるという一つのサイクルが確認できます(2011年8月17日更新分参照)。振り返れば、ドル/円が75円台前半の歴史的な安値を付けたのが2011年10月31日。その日を含めた週から数えて、今年9月13日(直近安値をつけた日)を含めた週は46週目にあたっています。つまり、9月13日安値=77.13円は45―50週(安値)サイクルの終点であると同時に、新たなサイクルの始点になった可能性があるのです。
さらに、今年2月1日安値=76.02円を始点として、新たに5波構成の強気相場が始まったという前提に立った場合、前述の9月13日安値は3月15日高値からスタートした第2波の終点であり、同時に強い「衝撃波(=上昇の波)」とされる第3波の始点になったと考えることもできるのではないかと思われます。
なお、5構成の強気相場については2012年5月13日更新分でも触れており、当時は第1波(2月安値から3月高値まで)の61.8%押しにあたる水準で第2波が終わる可能性を指摘していますが、これは見立て違いでした。ただ、第2波の特徴として「あたかも弱気トレンドが再開されたように見える」、「第2波が第1波の底を下回ることは決してない」とされている部分に関しては、9月13日の安値も十分にあてはまります。
もちろん、これはあくまで一つのシナリオであり、他にもサブシナリオを想定することは可能でしょう。ただ、上記のシナリオに立って言いますと、第3波は全5波のなかで最も長く(時間)、大きい(値幅)とされています。一応、頭の片隅には置いておいていただきたいと思います。