昨日(4月24日)、発表された1-3月期の豪消費者物価指数(CPI)は、事前の市場予想を大幅に下回る伸びとなり、10年強ぶりの低水準となりました。
変動の大きな項目を除いた基調インフレ率は前年同期比2.15%(年率)と、豪準備銀行(RBA)の長期目標レンジ2-4%の下限付近に収まり、これによって5月1日のRBA理事会における利下げ観測が一層強まる格好となっています。
予想以上に大幅な豪CPIの低下を受け、発表直後は豪ドル/円が一時83.00円割れの水準を垣間見る場面もありましたが、最終的には84.00円近辺まで値を戻し、24日の日足ロウソクは長い下ヒゲを伴う陽線となっています。
これで、5月1日の利下げはほとんど織り込んだと考えていいでしょう。もちろん、仮に市場が織り込む0.25%を上回る0.50%の利下げが実施された場合には、一時的にも再び下値を模索するようなことがあるかもしれませんが、基本的にはそこで一旦、豪ドル売りの材料が出尽くしとなり、いわゆる「バイ・ザ・ファクト(事実で買い)」という展開になるものと見られます。
本欄の2012年4月4日更新分でも触れましたが、豪ドル/円の過去の価格推移から見て83.30-82.50円あたりの価格帯(下図では薄青色の部分)には、明らかに重要な「節目」が確認できます。この水準は当面の下値サポートとなりやすく、実際に直近安値(4月11日)も82.49円までの下げに留まりました。
ここで改めて、上図をよく見ると、まず3月下旬に一旦上向きかけた200日移動平均線(200日線)が徐々に横向きから多少下向きになっていることがわかります。よって、目先的にはなかなか上値が追いづらく、次に再び上向きになってくるタイミングを待つのがより賢明という判断になります。
ただ、下値は徐々に限られてきており、ひとつには一目均衡表の日足「雲」下限が下値支持役として十分に機能していることがわかります。
また、2011年10月安値からの価格推移を見ると、そこに同安値を起点とする5波構成の強気相場が展開されているとの見方も成り立ちそうです。これは本欄の2012年4月11日更新分で見たドル/円のケースとよく似ており、2011年11月安値から2012年3月高値までを「第3波」とするならば、現在は「第4波」の修正(調整)局面にあるものと考えることができるでしょう。
ちなみに、よく言われるのは「第4波の長さ(値幅)は第3波の長さの大よそ0.382倍になることが多い」とされています。これを言い換えると「第3波の上昇幅に対する38.2%押しの水準付近で下げ止まりやすい」ということになり、計算するとその水準は1豪ドル83.34円となります。これは、前述した「節目」の価格帯における上限付近にあたります。加えて、2011年10月安値と同年11月安値を結ぶサポートラインも強い下値支持として機能するものと考えていいでしょう。
このように豪ドル/円が現在位置する水準付近には数々の下値支持が存在しており、しばらくこのあたりでもみ合った後、ある程度上値を試すような動きが見られれば、結果的に一目均衡表の「遅行線」が日々線を上抜け、あらためて強気ムードが拡がりやすくなってくるものと見られます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役