ついに、NYダウが終値で13,000ドル台乗せとなりました。加えて、日経平均株価は9,800円台を回復、NY金(先物)価格は一時1,790ドル台を回復と、相当に強い過熱感を伴いながらも市場全体ではリスクオンのムードが続いています。

こうしたムードにより敏感に反応しやすいのは、ご存知の通り豪ドルという通貨。ここにきて豪ドル/円は、一時87.50円近辺まで値を上げる場面を垣間見ており、リンク先のチャートでも確認できるように、昨年9月高値と10月高値を結ぶラインを上抜けることに成功しました。

このラインは、本欄の2011年11月30日更新分でも触れているように、2011年8月あたりから形成されているものと考えられていた「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(=逆三尊)」のネックラインにあたるものと考えられ、少々変則的な形状にはなりましたが、強気のサインの一つと考えることができるものと思われます。
もちろん、強気のサインは他にも見られます。

(図をクリックいただくとファイルをダウンロードしていただけます。)

まずは、この2月初旬に市場価格が200日移動平均線(200日線)を上抜けたことに加え、その後に21日移動平均線(21日線)が200日線を下から上へと突き抜けたことです。ただし、この時点では200日線が下向きとなっているため、必ずしも信頼性の高い強気のサインとは言い切れないところがあります。

その意味で、今後注目しておきたいのは、この200日線が現在の横向きから上向きに転じてくる状況と、その200日線を下から89日移動平均線(89日線)が突き抜けてくる可能性が高まっているという点です。

ここには大きく2つの意味があり、ひとつは上向きの200日線を89日線が上抜けるという比較的信頼性の高い強気のサイン=「ゴールデン・クロス」が示現するということです。ちなみに、21日線は2011年12月下旬の時点で、すでに89日線を上抜けていますが、強気のサインとしてより信頼性を高めたのは、年明け1月半ばあたりに89日線が上向きになった時点からということになります。

いま一つに、今後200日線が上向きに転じ、それを89日線が上抜けると、各移動平均線の並びが上から21日線、89日線、200日線の順番となり、ここでまさに「完璧な順番(=パーフェクトオーダー)」が完成するということです。仮に、ここへ13日移動平均線を加えると、4本の移動平均線が計算期間の短い順に上から並ぶ格好となり、これは相当に強い強気のサイン=買いのシグナルということになります。

もっとも、目先はさすがに過熱感も強く、一定の調整を余儀なくされる可能性は否定し切れないものと思われます。ただ、調整一巡後に直近高値を上抜ければ、次に2011年7月高値=87.80円が意識されやすくなり、同水準をも上抜けると、ついに2011年4月高値=90.03円が視野に入ってくるものと考えられます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役