シンガポールで開かれている或るコンフェランスのパネルディスカッションで、中国と日本に関連していくつかの質問を受けました。その内容をもって、今日のつぶやきに換えたいと思います。
1.中国は日本に何を変えさせているか?→日本は世界2位の経済大国であったので、内側(だけ)を見るようになってしまった。しかし中国のGDPが日本のそれを超えるようになり、且つ日本では人口も下げ止まらず内的需要が縮小しているので、外を、即ち中国やアジアを見なければならなくなった。多くの日本企業が今はそれを実行しようとしている。願わくは日本政府がその様なアクティビティの邪魔をしないことだ。
2.日本の銀行もアジアに再進出しようとしているが成功すると思うか?→(厳しい答えをしたのですが、差し障りがあるのでここでは伏せます)。
3.エレキや車などで韓国はかなり中国市場に切り込んでいるが日本は弱い。何故か?→そもそも韓国は小さい国なので、企業は昔から需要を外に求めてきた。サムソンでは午後3時以降は社員は全員韓国語以外の何かしらの外国語を勉強しなければいけないと聞く。日本は国内需要が大きかったので慢心した。言葉の問題(一般に日本語しかできない)もある。ハイエンド商品に強いので、中国に広く受け入れられるような或る意味でのローエンド商品で必ずしも競争力は強くないという点もあるだろう。
4.70年代、80年代の日本と今の中国は似ているか?→北京や上海の所得水準は80年代の日本のそれに近いし、人民元を刷り過ぎて国内に流動性が充満しているので、バブルが起きやすい状態であり、それは似ているだろう。もし中国がかつての日本から学ぶべきことがあるとすると、日本は世界第2位の経済大国となって慢心し、日本のマーケットを中心に見て、日本人だけで会社を創り、それでやっていけると思ってしまい失敗したが、中国も同じような落とし穴に陥りやすいと思う。外資や外国人も入れながら、世界のマーケットを見ていかないと、同じような失敗を犯す可能性もある。
5.5年後の中国の債務はどのような規模になっていると思うか?→現在の公的債務が1兆ドル。GDPの約20%。2015年のGDPがIMF予測で10兆ドル程度。同じGDP比でも2兆ドルになる。実際にはもっと大きくなるのではないか。中国は今、自らの成長を内的成長によって資金面で支えることが可能だが、一人っ子政策によっていずれ貯蓄率は下がり、国際資本市場でファイナンスしないと立ち行かなくなると思う。その為には人民元を先ずは国際化し、次に外国人が買える中国国債(CGB・・私の造語)市場を作る必要がある。現在外国人が買える発達した国債市場があるのはアメリカと日本のみである(EUには通貨はあるが、EGBなる国債はない)。いずれ世界の人々は、まとまった額の置き場所として米国債+JGB(日本国債)ではなく、米国債+CGBとなるだろう。その時、CGB市場は5兆ドルとかなってもおかしくないと思う。そしてその時、円は大きく売られ、円金利は大きく上げるだろう。
・・・まぁそんな話をしました。明日は帰国します!