先日タクシーに乗った時のこと。或る人とのディナーに向かうべきところ、社内でのミーティングが長引いてしまい、どう考えても間に合わない時間にオフィスを出ました。電話で「少々遅れます」と一報を入れてタクシーに乗り込んだのですが、雨も降っていて、かつ行き先への道は通常で考えるとかなり混む道なので、大幅に遅れてしまう感じでした。ところが、何故かスイスイと進んでしまい、ほとんど遅刻なしで現地に着きそうになったのです。
私曰く「いやー、今日はやけに空いてますねぇ」、するとタクシーの運転手さん曰く「これからお仕事の会食ですか?」、私「はい」、運転手さん「あまり気の乗らない用事でしょ?」。意外な展開に、私は一瞬黙りました。その上で「空いてるって云ったからですか?」と聞くと、「いや、そうじゃないんですよ。行きたくない時は道は空いている。行きたい時は道は混む。長年タクシーの運転手をしてきて分かった法則なんですが、そういうもんなんですよ。」
俄には信じ難い話で、私は「行きたくない気持ちがあるから空いていると感じてしまう。行きたい気持ちがはやるから混んでいると感じてしまう。そういうことではないんですか?」と念を押すように聞いたのですが、「違います。心理の問題ではなく、巡り合わせでそうなるものなんです。」と云い切りました。目的地に着いてしまったのでそれ以上の議論は出来なかったのですが、なんか不思議な、信じられないのだけど気に妙に引っ掛かる印象を残したのでした。
景気が良くなる→前向きに人と会うことが街中で増える→道が混む→遅れがちになる。そんな循環があるのかも知れません。渋滞は、ある時は困りますが、なくなるとどこか寂しいもんですものね。早く渋滞が戻ってこないかなぁ。