先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続落、深セン総合指数と創業板指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初6月25日(月)の寄り付きは前週末比でプラスから始まったのですが、習近平国家主席が米国との貿易摩擦問題に対して徹底抗戦の構えを見せていると伝わったことから幅広い銘柄が売られ、反落からのスタートとなりました。金融株が総じて軟調で原油価格の上昇から燃料コスト増大が懸念されて航空株も下落。中興通訊(000063)も8営業日連続でストップ安となりました。
さらに6月26日(火)と6月27日(水)も続落。トランプ大統領が中国企業による米テクノロジー分野への投資や技術の対中輸出に関する制限措置を拡大する規制案を6月30日(土)までに発表する可能性があると報じられたことから米中貿易摩擦問題への懸念が膨らみました。そして6月28日(木)も4日続落となり、上海総合指数はおよそ2年4カ月ぶりの安値を付けました。しかし、6月29日(金)は大幅反発。EU首脳が移民問題で合意したとの報道を受けて、ユーロ主導でドルが下落。この影響で足元軟調だった新興国通貨も買い戻しの流れとなり、人民元安が一服したことで自律反発の買いが入りました。もっとも、週間では6月28日(木)までの下げ幅が大きく、結局、上海総合指数は前週末比-1.5%の2,847.418ポイントで引けています。
一方、香港ハンセン指数も上海総合指数と同じような株価推移となりました。6月25日(月)は、中国人民銀行(中央銀行)が6月24日(日)に預金準備率の引き下げを発表したものの、同時に中小企業の救済(融資)を指示したことから銀行の業績悪化が懸念された様子で本土銀行株が総じて軟調で株価を引き下げた他、前週末に米国のナスダックが軟調だったことからテンセント(00700)や舜宇光学科技(02382)といったIT・ハイテク関連も下落して反落からのスタートに。その後も6月27日(水)までは米中貿易摩擦懸念から幅広い銘柄が売られて3日続落となりました。しかし、6月28日(木)はトランプ大統領が中国に対する重要分野への投資制限で厳しい措置はとらないとしたことから、テンセント(00700)、舜宇光学科技(02382)、瑞声科技(02018)などのIT・ハイテク関連が主導する形で反発となり、6月29日(金)は前述の新興国通貨の反発を背景として大幅続伸となりました。結局、香港ハンセン指数は前週末比-1.3%の28,955.11ポイントで引けています。
米中貿易摩擦懸念で調整が続く中国株ですが、6月29日(金)の急反発を見ると、そろそろ調整のピークが近づいてきたように思います。まず、中国の経済指標や企業業績は現在の株価の下落を説明できるほどには悪化していません。そして、米中貿易摩擦問題は11月の中間選挙に向けてトランプ大統領が実績づくりのために行っているわけですが、ある程度の結果を出し、それを元に票固めをする時間が必要であることを考えると、遅くとも9月頃には何らかの形で妥結している必要があるのではないかと思います。そのように考えると、今の中国株の調整はもう少し続く可能性があるものの、下がったところは買いのチャンスととらえることが出来ると思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)