先週の中国株ですが、香港ハンセン指数は反発、上海総合指数、創業板指数と深セン総合指数は続伸と、総じて強い基調となりました。上海総合指数ですが、週初の5月7日(月)から大幅上昇でスタート。この日は中国預託証券(CDR)が年内にも導入され、海外に上場している中国の大手IT企業が中国本土にも上場するのではないかとの見方が強まったことが材料。証券株が大きく買われた他、2015年に結ばれたイラン核合意を巡り、トランプ米大統領が離脱を示唆するなか、原油価格が2014年以来となる70ドルを突破したことからエネルギー株も上昇しました。

続く5月8日(火)も続伸。中国の4月の貿易統計が好調だったことが市場心理を明るくしました。輸出は+12.9%(市場予想+8.0%、3月実績-2.7%)、輸入が+21.5%(市場予想+16.0%、3月実績+14.4%)。5月9日(水)は小反落となったものの、5月10日(木)には反発。5月10日は(木)は中国の4月のCPIが+1.8%と市場予想の+1.9%や3月実績の+2.1%と比較して緩やかな上昇となったことが好感されました。また、6月からMSCI新興国株指数に中国本土株が組み入れられる事への期待感も株価にはプラスに働いています。5月11日(金)は小反落となりましたが、結局、上海総合指数は前週末比+2.3%の3,163.263ポイントで引けています。

一方、先週の香港ハンセン指数は5日続伸を達成。週初の5月7日(月)は小幅な上昇にとどまりましたが、米国株や中国本土株が堅調な地合となったことから5月8日(火)はテンセント(00700)や瑞声科技(02018)、舜宇光学科技(02382)といったIT関連が大きく上昇して大幅続伸。また、この日は4月の販売台数が+49%増の12万8,817台と大きく伸びた吉利汽車(00175)も大幅高となりました。5月9日(水)は原油価格の上昇を背景に中国石油(00857)や中国海洋石油(00883)などの石油関連が大きく上昇。5月10日(木)と5月11日(金)も米国株の堅調な株価推移や、米国の4月の消費者物価指数が+0.2%と、予想の0.3%を下回わり、米国の早期利上げ懸念が後退したことなどから続伸となり(香港ドルは米ドルにペッグしているため、香港の政策金利は米国の政策金利に連動しています)、結局、香港ハンセン指数は前週末比+4.0%の31,122.06ポイントで引けています。

香港ハンセン指数は5月11日(金)に50日移動平均線を力強く上抜けた形となり、上昇トレンドに戻ってきました。これまでも指摘していた通り、経済指標や企業業績を見る限りは株価が上昇トレンドに戻るのは自然なことのように見えますので、ようやく株価がファンダメンタルに追いついた形と言えるでしょう。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)