近所に銀杏並木があります。銀杏は春から秋まではあまり自己主張をしません。毎日通る場所でも、何の木があるか全く忘れているのですが、毎年今頃になると、急に自己主張をしてきて、否応でも銀杏であることを知ります。何故なら一面が真っ黄色になり、終いに道路の上も黄色い銀杏の葉っぱだらけになり、更にあの臭いまでしてくるからです。ところが今年は、違った趣を呈しています。銀杏並木は南北に走っているのですが、東側の並木は相変わらず緑色で変化がなく、西側の並木だけ黄色いのです。色付きセロファンを部分的に貼ったような、不思議な風景です。しかも路上には、ちらほらと緑色のままの銀杏の葉っぱが落ちています。恐らくついこの間まで暖かくて急に寒くなったことや、道の両側での日照時間や、朝と夕方の太陽の光の力の違いから、このような現象が生まれているのでしょう。銀杏に限らず、注意深く街を見れば、未だ未だ面白い現象はある筈です。移動中には活字を読みがちですが、もっと街の中の様々な小さな主張を、探してみたいと思います。