3年前の今日にも「古稀」なる題名のつぶやきを書きました。その時は二日前に、私が人生で二番目に長く知っている知己の古稀だったのですが、今日は私の最も敬愛するI氏が古稀を迎えられました。人生七十古来稀(人生七十古来稀なり)と云いますから、漢詩・漢文の一部であることは明らかです。

論語によると15歳は志学、30歳は而立、40歳は不惑、50歳は知命、60歳は耳順となりますが、古稀の出典は論語ではありません。古稀は48歳の飲んだくれが、「飲みのツケが至る所にあるが、どうせ人は70歳まで生きることもあるまい」と開き直って詠んだ詩に由来しています。

飲み介と云うと李白を連想しますが、この詩は曲江詩という杜甫の七言律詩の一節です。杜甫が飲んべえだったと云う印象はないのですが、古の歌人は、皆よく飲んだものなのでしょうか。しかしこの古稀、杜甫が若干ウケを狙って、70歳=古稀と云うネーミングを残すために、技巧を凝らして詩を書いたと云う気がしないでもありません。しかしそんなことはどうでもよろしい。古稀はめでたいことです。Iさん、本当におめでとうございます。これからも元気に飲まれて下さい。