先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数ですが、週初の26日(月)は、一時は大きく下がったものの、ムニューシン米財務長官が、トランプ米大統領が命じた500億ドル以上の中国製品への関税を賦課する必要性を未然に防ぐため、米国が中国と合意をまとめられるとの楽観的な見方を示したことなどから終盤にかけては米中の貿易摩擦への懸念が後退し、先週末比ではマイナスではあったものの、戻り基調となりました。翌日の27日(火)も中国開発フォーラムで李克強首相が米国との貿易摩擦を解消し、双方に恩恵のある結論に達するための交渉継続に前向きであることを強調したことから続伸となりました。

28日(水)はトランプ政権が極めて重要な技術(半導体や次世代高速通信5Gなど)に対する中国からの投資を抜本的に制限する選択肢として、国際緊急経済権限法の発動を検討しているとの報道で、急反落となりましたが、29日(木)は国務院が増値税減税を決定したと発表したことや、中国商務省が米国と対話の用意があるとコメントしたとの報道から反発。30日(金)も中国政府がハイテク企業の中国本土上場を促す試験計画を公表したことから、ハイテク関連が全般的に堅調で続伸となりました。上海総合指数は前週末比+0.5%の3,168.896ポイントで引けています。

香港ハンセン指数は30日(金)がキリスト受難節で休場のため、4営業日の週となりました。週の前半は上海総合指数と同じように米中貿易摩擦懸念が後退して株価は上昇しました。テンセント(00700)や本土銀行株などの大型株が上昇して株価上昇を牽引しました。ところが、28日(水)は米国のテスラの死亡事故、フェイスブックの情報流出、アマゾンへの規制懸念などで米国のIT大手の株価が軟調となる中、香港でも、テンセント(00700)や舜宇光学科技(02382)などのIT関連が大きく下落して大幅反落。また、2018年第1四半期が減益見通しとなったBYD(01211)が大幅安となり、その他の自動車株も下落。29日(木)は、香港ハンセン指数は反発したのですが、引き続きテンセント(00700)や舜宇光学科技(02382)などのIT関連が軟調で上昇率は限られたものになりました。香港ハンセン指数は前週末比-0.7%の30,093.38ポイントで引けています。

中国本土株が反発する一方で、テンセント(00700)を中心としたIT関連が軟調となったことから香港ハンセン指数は続落となりました。今週も米国のIT大手企業の株価推移に香港ハンセン指数は影響を受けそうです。しかしながら、中国では増値税減税が決定されたり、李克強首相が財政投資を続けると強調していることなど、明るいニュースも出てきています。調整が終わった後は強い中国経済を背景とした上昇トレンドに戻れると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)