符牒(ふちょう)とは、三省堂の新明解国語辞典によると、「特定の業界において、商品の値段を示す記号や、特定の仲間うちで使われる隠語。」とあります。よく耳にするのは、お寿司屋さんの符牒です。食べ終わって「お勘定を」と云うと、旦那さんや職人さんが、女将さんや仲居さんに食べたお寿司の値段を伝えます。
そしてその値段にお酒の代金を足して、お会計となる訳です。この寿司代を伝える時に、紙に書いて渡す店もありますし、そうでない場合は、○○○円と云うのではあまりにも素っ気ないと云うか趣きに欠けるので、符牒を使うことになります。ゲタとかピンとか、店によって様々です。
この符牒、そんなに難しいものでもないので、ちょっと気を付けて聞くようにして、お代との整合性を何度か検証すると、案外簡単に暗号は解けます。お客さんに悟られないように、符牒はたまに変えているようですが、大幅に変えると却って店の人が混乱するので、ヴァリエーションは限られています。
さてここからが本題なのですが、先日或るホテルの寿司屋で食べた時のこと、注意して聞いていた訳ではないのですが、自然と寿司代の符牒が耳に入ってきました。そこの会計は店の外側にレジがあるのですが、払おうとする時に、伝票に書かれている数字が見えました。寿司○○○円、酒△△△円、計XXX円。おや?!寿司代が、符牒の数字と違います。万の位の数字が、ひとつ大きい方にずれているのです。むむむむむぅ。。。云うべきか云わざるべきか。聞いた符牒とその解釈には自信がありますが、云ったところで符牒を変えたと返されるだけでしょうし、そもそも知るべきでない符牒を解いてお代について口を挟むのは、あまりにも失礼千万、ルール破りの無頼漢です。しかしなぁ。。。仲居さん間違えないで下さい。それよりも、ちゃんと分からない符牒使って下さい!