先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数は反落となりました。上海総合指数は週初の22日(月)は軟調なスタート。前場は海外の株式市場が好調だったことや、中央銀行の公開市場操作による資金供給が、予想よりも多かったことからプラス圏で推移する場面もあったのですが、30以上の都市で、不動産の販売規制が導入されたとの報道で不動産株が安くなり、反落で引けました。さらに23日(火)も端午節の連休を控え、売買が手控えられ、軟調なムードが継続しました。軟調な市況が続く中で、IPOのペースが衰えないことも懸念材料に。
24日(水)は米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、中国の信用格付けを約30年ぶりに引き下げたことや、中国銀行監督委の主席代理が汚職で調査対象になったことを受けて市場心理が悪化し、株価は急落して一時3,000ポイントに迫るところまで下落。しかし、終盤に株価が上昇し、小幅なプラスに。そして、25日(木)は中国財政部がムーディーズの中国の格下げについて、適切ではなく、経済は制御可能としたと発表したことが好感され、株価は急伸して一気に3,100ポイント超まで上昇。26日(金)も小幅高となり、結局、上海総合指数は前週末比で0.6%高の3,110.059ポイントで引けています。株価は軟調なものの、ローソク足を見ると5月11日と24日に長い下髭をつける形となっており、ダブルボトムをつけ、株価はここから反転が期待出来るようにも見えます。
一方、香港ハンセン指数は連日の年初来高値更新で、週を通して強い推移となりました。香港市場は、欧米の株式市場が強く推移していることに強い追い風を受けています。23日(火)は英国のコンサート会場の、爆発事故のニュースなどもあって一時マイナス圏の推移となっていましたが、欧州の経済指標が好調で、欧州株が高く始まると、その好影響を受けて再びプラス圏へ切り返しています。24日(水)も前述の中国の格下げなどのニュースを受け、中国からの資金流出が懸念されて、マイナス圏での推移が続いていましたが、終盤に上海総合指数がプラス圏に戻すと、これにあわせるように香港ハンセン指数もプラスに。25日(木)は中国本土株が急伸したことに併せて、中国本土の金融株や不動産株が買われ指数を牽引して大幅高となり、26日(金)も小幅高でした。結局、香港ハンセン指数は6日続伸となっており、香港ハンセン指数は前週末比で+1.8%の25,639.27ポイントで引けています。年初来高値を連日更新しており、強い勢いの続く、香港ハンセン指数です。
中国の経済指標ですが、5月31日(水)に5月の中国公式製造業景況感指数(PMI)<市場平均予想51.0、4月実績51.2>が、6月1日(木)にCaixin製造業購買担当者景気指数<市場平均予想50.2、4月実績50.3>がそれぞれ発表されます。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)